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遠すぎず近すぎずな距離がうれしくて
【大介side】
正直、前を歩く二人を羨ましいと思った。
好きな人とあんなに仲良く、楽しそうに寄り添って手を繋いで歩く。ただそれだけなのに、俺のこの手はあいつの服すら擦りもしない。
てゆーかさ、俺の事好きとか言うなら、強引にでも掻っ攫えよな。
「ダイスケ、あれ乗ろう」
ジャスティンが指差したのは、俺の苦手な絶叫マシン。継と創はもう向かってる。
いや無理マジ無理やめて!
「大丈夫、オレがいるから」
そう言って取られた腕を振りほどけるわけがないだろ。
仕方なく、仕方なく!!!!腕を引かれながらも走るように乗り場に向かう。
うわあ、近くで見たら高いし速いしぐるぐるしてるし…ガタゴト揺れるのと同じように階段も揺れる。キャー!!!!って悲鳴だか歓声だかわかんないような声も聞こえる。
地獄へのカウントダウンを始めているとタイミングよく次回の案内で乗れる事になり、階段に並びながら先発するマシンを見送る。
「……最初からクライマックスな感じだなオイ」
ごくりと唾を飲み込んで、隣を見上げた。
不安な気持ちに気付いたのか、くしゃくしゃと頭を撫でてくる。いや、ここ階段だし、暴れたら他の客の迷惑になるからさせてるだけだし。
「大丈夫。な?」
「………おう」
頭を撫でていた手が下に降りて、背中に回される。そのまま体を引き寄せられて、さっきよりも近付いた。
あーなんか緊張する。いや、これはアトラクションに対してのドキドキだからな。顔が赤くなるとか、ありえねえから!
「お待たせしましたー!」
ハイテンションな係りの人が先頭の客を乗せていく。前に並んでいた双子は、もちろん手を繋いだままで、創なんかにこにこしてる。意外に創はこういうの平気なんだよなぁ…
俺とジャスティンもその後ろに乗り込む。安全バーをセットすると、ふと手のひらが暖かくなった。
「怖かったら握ってていいから」
「…怖くない」
ああ、顔が引きつってるのバレてる。
じゃあ、と苦笑しながらジャスティンが告げた。
「ダイスケと、手を繋ぎたい」
どうしよう、なんかもう心臓爆発しそう。
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