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第6話

その後は数年ぶりの誕生日を家族みんなでお祝いした。 急なことでケーキもご馳走もプレゼントもないけれど隣に卯月がいる事が最高のプレゼントなのだ。 今は同性婚も許される時代になっていてお互いの両親は俺たちの事を直ぐに許してくれた。 こうなる事を薄々感じていたのかもしれない。 家族みんなで色々な話をした。一緒にいられなかった数年分を埋めるように その夜は家族全員、俺の家で休むことにした。 自室に卯月を伴い戻ってくる。扉を閉めると直ぐに卯月に抱き締められキスを落とされる。 初めてのキスは甘く溶けていきそうだった。 「藤…会いたかった…毎日お前のことばかり考えてた」 「俺も…俺も卯月のこと考えてた」 フワリと幸せそうに笑う卯月はとても綺麗だった。俺の手を取ったまま手の甲に口付ける 「この指輪まだ持っててくれたんだね」 指にはめている物は本物には程遠い。でも何よりも輝いて見えた。ところどころ剥がれてしまい石だって外れてしまいそうだけれど… 「ねぇ藤。改めて言わせて?…僕と結婚してください」 ジャケットのポケットから小さな小箱を取り出し差し出す。とてもシンプルな言葉だけれどそれが卯月らしかった 「はい。よろしくお願いします」 もう一度どちらとも無く口付ける。少しずつ深くなり影が一つに重なるそれを月だけが見ていた。 「誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう…これからもよろしくね」 fin.

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