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第1話
ぼく以外、誰もいない放課後の教室。
野球部の掛け声をBGMに、いつもの定位置につく。
外が見える、1番後ろの席の窓際。
「今日は、隣のクラスの早川さんか……」
正門に向かって歩く2人を見ながら、ぼくは呟いた。
17時45分。宮原 蓮ーーぼくの想い人はこの時間になると、毎日別の女の子を連れて帰っていく。
授業が終わってから今まで、何をしていたのかは知らない。……でも、想像はつく。
学内には、使われなくなった第二資料室……通称ヤリ部屋が存在する。
きっと彼らはそこで過ごしていたんだろう。
女の子が蓮くんの腕に擦り寄るが、彼は嫌そうにしてそれを跳ね除ける。
ーーモテるのに、特定の女を作らない。
これは、学内でも有名な話だ。何か理由があるのかもしれないけど、真実は誰もしらない。
そんなことを思いながら、だんだん小さくなっていく2人を見続ける。
「第二ボタンまで開けてた。今日も格好いい……蓮くん、好きだよ」
正門から出て行く彼の後ろ姿に向かってそう呟くと、ぼくは鞄を持って教室を後にした。
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