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第4話

彼について知るのは簡単だった。 休み時間中隣の教室に出来る人集り。その中心にいるのは、もちろん彼。 「蓮?、たまにはウチらも構ってよ?」 「宮原は、女といるよりダチの俺らといる方が楽しいよな?」 彼の周りにいる人たちの会話を聞いて、宮原 蓮 という名前だっていうこともすぐに分かった。 軽く着崩した制服に、少し長めの茶髪。そして、髪の間から時折見えるピアスを付けた耳。 誰もが羨む格好よさだ。 「俺はみんなといるのが楽しいよ」 微笑みながらそう答えた彼の言葉に女子は黄色い声を、男子は肩を抱いたりハイタッチをして喜んだ。 その様子を遠くから見ているだけなのに、体が熱くなり心拍数が速くなる。 (宮原 蓮……くん) 彼ーー宮原くんの名前を心の中で何度も呼ぶ。 それだけで、ぼくの目の前に広がる世界は輝いて見え、今までと違う気がする。 恋を自覚したばかりのぼくには、すごいことに思えたんだ。 でも、初恋のぼくにも分かる。同性を好きになるのは、世で言う普通じゃないことだと。 だからこそ、ぼくは何も望まない。 今まで通り【隣のクラスの同学年男子】程度の認識のされ方でいいんだ。いや……むしろ、認識されていなくて構わない。 ぼくがあなたを知っていれば、それだけで十分。 だからーー宮原くんのことを目で追ってしまうのだけは、許して。

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