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第6話 クラス替え
春休み明けで眠気が取れないまま登校するぼく。
「ふああぁ……」
「ははっ!すごい欠伸。なずな、おはよ」
ポンポンとぼくの肩を叩き、隣に並んできたのは幼馴染の三浦 隼人。
「なんだ、隼人か。……おはよう」
「その反応ひどっ! ってかさ、今日はクラス替え発表だよな。今年も俺ら、同じクラスかな?」
小学1年の時から隼人とは同じクラスだった。裏で仕組まれてるんじゃって、何度思ったことだろう。今年も一緒なら、12年連続か……。
相変わらず朝からテンションの高い隼人の言葉に、適当に相槌を打ちながら歩く。
「おっ! 掲示板はっけーん!」
「隼人待てよーーって、うわっ!」
突然走り出した友人の後を追おうと一歩踏み出した時、自分の片足に躓き転びそうになる。
新学期早々最悪……と思いながら、ギュッと目を閉じた。
しかし、想像していた痛みはいつになっても感じない。その代わり、誰かに掴まれたような感覚が右腕にある。
「あっぶねー。間に合った……お前、大丈夫?」
ぼくの体が急に熱くなる。何度も聞いたことがあるから間違えるはずが無い。この声は……
「ごめんなさい。少し寝ぼけてて……」
そう返事をしながら振り返ると、大好きな宮原くんの顔が目の前に広がる。
「お前……あの時の……」
「えっ?」
今、あの時って言った? もしかして、彼もあの日のことを覚えてる?
「あのっ、宮原くん……もしかしーー」
「蓮ー! 俺らC組だってさ」
「おう! 今行く」
勇気を振り絞って声をかけようとしたが、宮原くんは友人のほうを向いてしまう。
残念だけど、当たり前の反応だ。そう思って俯いていると、頭をクシャッと撫でられた。
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