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第7話
(えっ……?)
「じゃあな、なずな君」
ひらひらと手を振りながら、彼が去って行く。
(嘘! 今、ぼくの名前!)
突然の出来事に固まっていたが、急いで彼の後ろ姿に声をかける。
「あ、ありがとっ! 宮原くんっ!」
ぼくの声が聞こえた彼は、こちらに振り返りニコッと笑うと、友人たちと一緒に教室へ向かっていった。
何が起きたのか、ぼくの小さな頭ではまだ理解ができない。
でも、十数年間生きてきた中で1番と言ってもいいほどの嬉しいことが起きたのだけは分かる。
「なずな? ぼーっと突っ立ってお前何してんの?」
隼人の声で我に返る。
「な、なんでも無い。ちょっと躓きそうになって……」
「またか? ったくお前はほんと、鈍臭いよな。ってか、俺らC組だって!」
祝12年連続同じクラス?と喜ぶ隼人。
C組って……宮原くんと同じクラス?
急いで掲示板の前に行き、C組のクラス表を自らの目で確かめる。
……
宮原 蓮
……
……
……
若森 なずな
(ほ、本当だ……!)
宮原くんと同じクラスと知ったぼくは、隼人と一緒に急いで教室に向かった。
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