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第8話

sideR 「なぁ蓮、さっきのヤツ知り合い?」 「いや、知らない。たまたま視界に入ったから助けただけ」 「ふーん。さすが蓮! 優しいな!」 言葉は発さず、笑顔だけ返す。 誰も本当の俺のことを知らない、見ていない。俺は優しくなんてないんだ。 今だって、友人の質問に嘘をついたんだから。 本当はアイツのこと、知ってる。 男子の中では低めの身長で、サラサラな黒髪。くりっとした綺麗な瞳の持ち主は、去年俺が廊下でぶつかった相手だ。 はじめは同じ学年にこんなヤツいたんだ、っていう程度の認識だった。 でも、1ヶ月経った頃だろうか。廊下や全体集会で彼からの視線を感じるようになった。 正直言って、こういうのには慣れている。自分で言うのも可笑しいが、俺は【カッコいい】部類に入る顔をしているんだろう。嫌でも見た目で人が寄ってくるんだ。 だから、アイツも同じ……そう思っていた。

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