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第6話

 僕は隆一さんを抱きしめてベッドに横たわった。  隆一さんの腕の中にすっぽりと包まれた僕は猫のように喉を鳴らした。隆一さんは眠りに落ちるまで僕の髪を梳いてくれた。  目を覚ました隆一さんが僕を見つめて僕の頬を両手で包んだ。  僕たちはまた唇を合わせた。いつまでもいつまでもそのままでいたいと思うほど隆一さんは僕を必要としていた。けれど。 「仰木隆一だな」  静かにドアを開けて刑事が言った。 「一緒に来てもらえるね」  隆一さんはゆっくりと体を起こすと刑事に向かって「Hello」と言った。刑事は何も言わず隆一さんの腕をとった。 「僕は人を殺しました」  僕の言葉に隆一さんがゆっくりと振り返った。  刑事が怪訝な顔をしている。 「この店のオーナーを殺して埋めました。だから僕も連れて行ってください」  刑事は突然のことですぐに動けないようだった。  隆一さんが僕に手を差し伸べた。 「Come with me?」 「Sure」  僕たちは出会うべきでない場所で出会った。  会うべきでない場所で会った。  そして行くべきところに共に行く。さようならの挨拶はしない。  僕は隆一さんを忘れないから。

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