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「──────」
医者が俺に何かを言っていた。
何も聞き取れない。
全ての音が遮断されて、俺のやけに速い鼓動が吐く息とともに音をなす。
それからも医者は言葉を続けた。
聞きたくないと叫ぶ心が、無意識にノイズをかける。
頭は真っ白に染まり、
鼓動はやけにうるさく、
思考は零れ落ちる。
僅かに残る何かから言葉が入ってくる。
聞きたくない。
聞きたくない。
聞きたくない!
心臓が一際跳ねる音が身体を揺らし、
世界の音を強制的に俺の耳に入れる。
「はい」
やっと放った言葉は酷く掠れ、現実を突きつけた。
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