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「お待たせ朱寧」
「いーよ、柚葉」
制服でなく、かと言って浴衣でもない私服の柚葉。
その姿は今まで何度か見てきたはずなのに、俺の鼓動がはやくなる。
好き
…って自覚してからとする前じゃ、何もかもが違う。
「何ぼーっとしてるんだよ?行くぞ朱寧」
「何でもねぇーよ」
「そ、ならいいよ」
「とりあえずなんか食お?」
「言うと思ったわ」
そう言って柚葉は笑う。
人混みに混じりながら、屋台を目指し二人で歩く。
日もゆっくり傾いて、空をつつんでいる。
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