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「何でここにいるんだよ」 「朱寧に会いに来た」 「勝手にいなくなったのは俺だ」 「うん、知ってる」 「連絡だってしなかった」 「うん、俺は待ってたけどな」 「俺は柚葉の腕を振り払った」 「うん、でも本心じゃないだろ?」 「本心だ」 「嘘つき」 「嘘じゃない」 「じゃあ、何で俺に話してくれなかった?」 「何も話すことなんてないから」 「ほんとに?」 「嘘つく意味が無い」 涙が溢れる。 言葉を紡げない。 俺の言葉は全て嘘に染まっていて。 声が震える。肩が震える。 指先の感覚はなくなり、視界も涙でぼやける。 逃げたい。 逃げ出したい。

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