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「朱寧」
名前を呼ばれただけで、全身の血が駆け巡る。
だめだ、離れないと。
今すぐ離れないと。
俺が俺でいられなくなる。
最後まで──
「離せ!」
慌ててブランコから降り、柚葉の腕から逃げ出す。
でも、おかしかった。
本来なら1ヶ月何も動いていない俺が、柚葉の力にかなうはずがなかった。
やけに冷たい冬の空気に、俺の熱い体がより熱く感じられる。
柚葉の方を見ず、下を向きながら言葉を発する。
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