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『─君への手紙─』

──柚葉(ゆずは)へ おはよ、柚葉。 誕生日おめでとう! 遂に成人しやがって! 俺より先にお酒飲めるようになってんなよな(笑) まぁ、俺もあとちょっとだけど!! 俺がお酒飲めるようになったら、どっちが酒に強いか飲み比べしよーぜ! 俺、学校帰りによく見る居酒屋に行ってみたいんだよな〜…ってことで、そこな! そこで初お酒飲もうぜ! “初”だぞ“初”! 柚葉も俺が飲めるようになるまで、お酒飲んじゃダメだかんな! 大事なお友達の俺のためだと思って我慢しろよ(笑) あっ、あとあと! 俺の誕生日はワゴン車と別荘でいいぞ! プレゼント! 柚葉ならバリバリエリートマンしてそうだから、容易いだろ!何ならローンにしろ! したら俺もちょっとは手伝ってやるよ(笑) ……なーんて。 柚葉にちゃんとした手紙書くのなんて、初めてだからすっげぇ緊張する。 ほんとは誕生日プレゼントなんてなくてもいいし。 一言おめでとうって言ってくれるだけでも、死ぬほど嬉しいからさ! ……ほんとに死んじゃうけど。 明日はクリスマスなんだぜ。 柚葉にクリスマスプレゼントあげれないから、とりあえずなんかしたくなって、この手紙書いてるってわけなんだけど…渡せるかわかんないや。 サンタさんなんて信じてないけど、今日だけは信じたいなって思ってるけど。 もう柚葉は知ってんのかな? 俺が自分で言ったのか、その後気づいたのかわかんねぇけどさ。 俺って死んじゃうんだって。 あー、死んじったんだって……の方が正しいか? 柚葉が20歳の頃はもう俺は生きてないだろうから。 ほんと、これ柚葉が見てるなら 「誕生日に何してくれてるんだよ」 って言われるな。 じゃあ最後に言いたいこと言って終わりにするわ。 俺さ、柚葉のこと好きだったんだ。 もちろん今も大好きなんだよ。 ほんと好き。大好き。 今手紙書いててさ、 「あぁ、やっぱ俺…柚葉のこと大好きだなぁ」 って改めて思った。 どこが好き?なんて聞かれたら答えられねぇけど、少なくとも俺の最後の季節の想い出を、柚葉で埋めたいくらいには好きなんだよね。 ほんとは、直接柚葉に“好き”って言えたらよかったけど……俺が臆病だから言えなくてごめんな。 柚葉、優しいから気にしちゃうだろ? 気にしなくていいから。 それでも好きになったのだけは許せよな。 あとさ。 もし、俺のわがままを受け入れてくれるならさ。 なんとなくだけど、 俺は柚葉の近くで死んじゃうような気がするから… どうしても気になることがあって。 俺が最後にいう言葉はなんだろうな ……って。 だから覚えてろよ。 いつか絶対聞きに行くから。 約束な! 柚葉が幸せな人生を過ごして。 家族もできて。 おじいちゃんになって。 大切な人に見送られながら死んじゃったら。 その時は俺が 「久しぶり柚葉」 って、迎えに行ってやるからよ。 そん時に教えて? 何十年でもずっと…… 柚葉が死んだっていうのに、幸せなおじいちゃんな顔して、俺の前にやってくんのずっと待っててやるから。 惚気ばっか聞かされるのはちょっと辛いけど。 あーあ。 結局何言ってんのかわかんないし、長くなったな。 柚葉。 今までありがとう。 俺と友達になってくれてありがとう。 俺に季節をくれてありがとう。 俺に“好き”を想わせてくれてありがとう。 ずっとずっと大好きだから。 約束だけは守れよ? お誕生日おめでとう。 ──朱寧(あかね)より

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