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第15話 連休はベッドの上で[1]船山

 もう少し…もう少しだけ奥まで…。  声には出さないで念を送るが、そんなの通じる訳もない。届きそうで届かない焦ったさに、つい手を出しそうになりながら、それでもその手をぐっと堪える。  始めは様子見だから、無茶な要求はしたらダメだ。言葉に出すのも恥ずかしい。ただじっとして、ベッドの上で、おとなしく窺い見ているのが俺の精一杯。  罠を仕掛けるような姑息な手管を使ったつもりはないが、結果的にはその些細な抵抗が奴の本気度を上げてしまった。  諦めたのかと思ったら、攻め方を変えて果敢にアタックする。障害があると燃えるタイプなのか?  その頭脳に、あらゆる策がインプットされているのだろう。…それが、過去の歴史の積み重ねだと思うと、複雑な気持ちになるけれど、大人なのだから割り切ろう。  ああ、もう此処までだ、行き止まりだ、と思ったポイントをも、いつの間にか越えている。百戦錬磨の策士にかかれば、限界なんて小さな凹凸のようなものなのか。どうする、どうなっちゃうのコレ!?  これ以上奥までいったら、もう引き返せないんじゃないだろうか。  腹をくくろう。妙に冷静な目で事の推移を追っている自分に冷笑する。  イケるとこまでイったらいい。このまま力尽きるまで…。

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