そんなイジワルな言葉ですら、優しく感じてしまう僕は、郁也さんのことが、すごく好きなんだなと思った。 「こっち向けって。キス、出来ないだろ」 「ふっ……もぅ、んんっ////」 　感じているのを見られたくなくて、横を向いてる顔を、空いてる手で正面に向けさせられる。欲情が見てとれる郁也さんの瞳が、僕をすごく欲しがっているのが分かった。 　いつも、そう―― 　この瞳を見ると無抵抗になって、すべてを差し出してしまう自分。 『大事なものを、大事に扱っただけだ』 　その言葉通り、優しくキスをする。小鳥が啄ばむようなキスを、何度か繰り返した後、唇をやわやわと食みだした。 　もどかしい……もっと僕を求めてほしい。今まで触れていなかった分、もっと―― 「…郁也さん、焦らさないで……」 「ん――？」 「浮気してないって証拠、僕に見せてよ」 　ホントは流していたドラマＣＤみたいに、煽るようなセリフを言えればいいんだろうけど。あんな大胆なセリフ、恥ずかしくて言えない。この言葉が精一杯だ。 「どうやって証明すればいい？　ん――？」 「んもぅ、またイジワル」 「してないって、ほら……」 　太ももに伸ばされていた手が、ゆっくりと僕の―― 「あぁっ……ぁん、ンンっ！」 　指先で敏感な部分を弄られ、ぴくんと身体が跳ねてしまった。眉根を寄せて郁也さんを見上げると、ふっと笑ってから、 「もう少しだけ、涼一の感じてる姿を見たかったんだけど、俺も限界だ」 　言い終わらない内に、唇を強く押しつけるようなキスをして、僕を求めてくれた。その瞬間、胸が鷲掴みされてみたく、キュンとして。 　その甘酸っぱい疼きを噛みしめながら、郁也さん自身を受け入れたのだった。