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リクエストがきちゃった(汗)
「……郁也さん、またお願いがあるんだけど」
「どうした? 何でも言ってくれ」
嬉しそうに聞いてくる顔を見て、複雑な心境になる。
「えっとね、絵を描いてほしいって、リクエストがきちゃったんだ」
「ほー、何のリクエストがきたんだ?」
“o(* ̄o ̄)o”ウキウキ♪
――ああ、もぅ、どうにでもなれ!!
「リクエストはヒツジです! 描いたことある?」
「あるぞ。新年パーティのお題に出たから。その絵を披露した時は、会場が騒然となった」
違う意味で騒然となったのだろうと、簡単に予測できた。
アセアセ( ̄_ ̄ i)タラー
「じゃあ、今すぐに描けるね。お願いします!」
「おおぅ、任せとけ!」
手渡した紙に、いそいそと描いたんだけど。何故だか、2枚も使って描いていた。
どうしてだ?
(・_・o)ン? (o・_・)ン? (o・_・o)ン?
いつも通り、ものの数分で描き終えて、ニコニコしながら見せてくれたのだが。
「どうだ、驚いたろ?」
「…………」
何て言っていいのだろう。
コレは一体!? ( ̄□ ̄;)!!
「……郁也さん、コレ、だれ?」
僕はヒツジを描いてくれって言ったのに、『しつじ』を描いている。しかも誰なんだ、このファンキーな人は。
「これは、尚史naotoが書いた小説に出てくる、執事のキサラギってヤツ」
どうして、その人を描いたというのだろう? 実物を見たら分かるけど、やっぱ悲しくなるな。
「郁也さん、ヒツジは描いたのかい?」
「もちろんっ! ほらよ」
『しつじ』の後ろに隠れてた紙を、堂々と手渡してきた。
ド━━━(゚ロ゚;)━━ン!! こっ、これは――
「どうだ、参ったか」
「……うん、さすがだね郁也さん。期待を裏切らないトコがホント、尊敬しちゃう」
わざわざモフモフと書いてたり、鳴き声まで入れてたり、彼なりにアレンジして頑張って描いたのだ。褒めてあげなければ……
「僕、まったく絵心ないから、さらさらっと描けるのが羨ましいな」
「じゃあさ、今から描き方、教えてやるぞ」
(; ̄Д ̄)なんと?
「いっ、今はいいや。これから小説の執筆したいし……また今度ね」
どうしよう、このままだと桃瀬画伯のお絵描き講座に、入門しなきゃいけなくなる。
困ったな――
おしまい
※ちなみに桃瀬画伯の絵は、尚史が描いているのではなく、別の人間が描いていますw
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