69 / 87
ガテン系おっさん
涼一と一緒に久しぶりに、有意義な休日を過ごすべく、街中をブラブラしていた。
「暮れになると、あちこちで工事やってるよな。寒い中、大変そうに見える……」
横目に映った工事の風景を不意に口にしたら、立ち止まった涼一。
「ん? どうした?」
「……インスピレーションが沸いた。ちょっとメモしてもいい?」
恋愛小説家らしい言葉なれど、目の前にあるのは、道路工事に勤しんでいる、オッサンばかり――
大きな瞳をうるうるさせ、上目遣いしながら頼むものだから、イヤだなんて断れるワケもなく了承したら、カバンからネタ帳を取り出し、いそいそと何かを書きはじめた。
横で、ぼーっと突っ立っているのも暇なので、同じくカバンからスケッチブックを取り出し、描きやすそうなオッサンを、びびっとロックオン。
ロックオンしつつも、隣でメモをしている涼一がどうしても気になり、チラチラ中身を覗いてみた。
『滴る汗。それを拭う力強い二の腕。爽やかな笑顔。キビキビと働くイケメン多し』
∑(`□´/)/ ナニィィイイイ!!
涼一が心を奪われるイケメン、どこにいるんだよ!? オッサンだけを必死にロックオンしていて、全然気がつかなかったぞ。
血眼になって、イケメンを捜しはじめたとき――
「郁也さん、意外と上手に描けてるね」
涼一がスケッチブックを指差して、ニコニコしてくれる。それだけで怒りが、しゅーっと収まってしまった。
「そ、そうか!? (///o///)ゞ テレテレ」
照れた勢いで、いつもの文字を書いてやる。
「オッサンと郁也さん、どっちの頑張りが上かなぁ?」
含み笑いをしながら、意味深な発言をした涼一に、何て答えたらいいのやら――
オッサンには負けない自信、あるZE☆
という言葉を素直に言えない俺を見越して、体当たりをし、さっさと置いて行く。
「ううっ、涼一、待ってくれよぅ!」
スケッチブックをカバンに急いで仕舞って、デートの続きを楽しんだ。
勿論、夜も頑張ったことは言うまでもない!
めでたし めでたし((ノェ`*)っ))タシタシ
ともだちにシェアしよう!