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イケメン漁師的なナニか……
友人の周防が夏休み、両親のいるどっかの島に行ったらしい。早速写真が添付された、メールが送られてきたのだが。
「何なんだ、これ……何で俺にこんなもの、送りつけてきたんだか」
自分よりも明らかにイケメンな容姿に、自然と腹が立ってきた。
『この人、元ナンバーワンホストだったそうだよ。今は見ての通り、漁師なんだってさ。涼一くんが好きそうなタイプでしょ(笑)』
周防の書いた文面が、更に俺を苛立たせる。
――こんなヤツ、こんなヤツはなぁ、こうしてやるZE――
傍に置いてあったスケッチブックを手に取り、一心不乱に絵を描いてみた。
「くそっ! イケメンすぎてそのまま描き写せちゃうとか、俺ってば天才かも☆」
黙々と(黙々と書いたけど、実際は文句ブーブーだった件)絵を描いていると、部屋から涼一が出てきて、傍に置いてあるスマホを手に取った。
「うわっ、すっごいイケメンだね。イケメン漁師さんか……いいなぁ」
何がいいなぁ、だ。どこら辺がいいんだよ?
「だけどソイツ、元ホストだってさ。きっといろいろヤりすぎて、業界にいれなくなったんじゃないか?」
「元ホスト!? わぁ、何だか物語が出来ちゃいそう」
どんな物語を書くつもりだ、涼一。そんな風に、夢見るような顔をしてくれるな!
「ところでさっきから、何をブツブツ言いながらイラストを描いてい――」
スケッチブックを覗き込んだ涼一が、言葉を飲み込んで固まった。
「どうした?」
不思議顔で見上げながら固まる涼一を見つめると、明らかに笑顔が変な感じに歪んでいる。
「えっと……そのイラストは、その……このスマホに写ってる、漁師さんを描いたんだね」
「おぅよ。そのまんまだろ」
「着てる服のキャラクターに、著作権の関係で横線引いたんだ。偉いね郁也さん……」
額に手を当てて、うんうん唸りながら指摘してくれた。まぁ、これについてはイケメン度を下げるべく、わざわざ描いたモノだが。
「まぁな。クリソツだったからよ、マズイだろ」
「その「プ」って、クリソツなコが言ったセリフなんだ。凄いね、いろいろと」
「天才繋がりで、つい書いてしまったんだ。へへっ」
「天才……そうだね、うん。お魚の口から何故、血が出ているのか、気になっちゃった」
いつも以上に、細かい点を指摘してくれる涼一に、笑いが止まらない。よく見てくれて、嬉しい限りだぜ。
――さすがは俺の恋人!!
その後も会話が盛り上がって、「ババーン」を後づけしてしまうくらい、楽しく描くことが出来た。
結果オーライ、周防に感謝だな(・∀・)/thank you
めでたし めでたし
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