77 / 87

イケメン漁師的なナニか……

 友人の周防が夏休み、両親のいるどっかの島に行ったらしい。早速写真が添付された、メールが送られてきたのだが。 「何なんだ、これ……何で俺にこんなもの、送りつけてきたんだか」  自分よりも明らかにイケメンな容姿に、自然と腹が立ってきた。 『この人、元ナンバーワンホストだったそうだよ。今は見ての通り、漁師なんだってさ。涼一くんが好きそうなタイプでしょ(笑)』  周防の書いた文面が、更に俺を苛立たせる。  ――こんなヤツ、こんなヤツはなぁ、こうしてやるZE――  傍に置いてあったスケッチブックを手に取り、一心不乱に絵を描いてみた。 「くそっ! イケメンすぎてそのまま描き写せちゃうとか、俺ってば天才かも☆」  黙々と(黙々と書いたけど、実際は文句ブーブーだった件)絵を描いていると、部屋から涼一が出てきて、傍に置いてあるスマホを手に取った。 「うわっ、すっごいイケメンだね。イケメン漁師さんか……いいなぁ」  何がいいなぁ、だ。どこら辺がいいんだよ? 「だけどソイツ、元ホストだってさ。きっといろいろヤりすぎて、業界にいれなくなったんじゃないか?」 「元ホスト!? わぁ、何だか物語が出来ちゃいそう」  どんな物語を書くつもりだ、涼一。そんな風に、夢見るような顔をしてくれるな! 「ところでさっきから、何をブツブツ言いながらイラストを描いてい――」  スケッチブックを覗き込んだ涼一が、言葉を飲み込んで固まった。 「どうした?」  不思議顔で見上げながら固まる涼一を見つめると、明らかに笑顔が変な感じに歪んでいる。 「えっと……そのイラストは、その……このスマホに写ってる、漁師さんを描いたんだね」 「おぅよ。そのまんまだろ」 「着てる服のキャラクターに、著作権の関係で横線引いたんだ。偉いね郁也さん……」  額に手を当てて、うんうん唸りながら指摘してくれた。まぁ、これについてはイケメン度を下げるべく、わざわざ描いたモノだが。 「まぁな。クリソツだったからよ、マズイだろ」 「その「プ」って、クリソツなコが言ったセリフなんだ。凄いね、いろいろと」 「天才繋がりで、つい書いてしまったんだ。へへっ」 「天才……そうだね、うん。お魚の口から何故、血が出ているのか、気になっちゃった」  いつも以上に、細かい点を指摘してくれる涼一に、笑いが止まらない。よく見てくれて、嬉しい限りだぜ。  ――さすがは俺の恋人!!  その後も会話が盛り上がって、「ババーン」を後づけしてしまうくらい、楽しく描くことが出来た。  結果オーライ、周防に感謝だな(・∀・)/thank you  めでたし めでたし

ともだちにシェアしよう!