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ネコ耳フードのイケメン

 俺は今、頭の中にある記憶を頼りに、一心不乱に絵を描いている――  病院の夏休みを使い、両親のいる島に渡った周防からさっき、メールが送られてきた。これで2通目。  1通目には一緒に写真が添付されていて、そのあまりのイケメンぶりに無性にイライラさせられ、思わず勢いに任せて絵を描いてしまった。 (お題:イケメン漁師的なナニか……に掲載中)  そして2通目は、文章だけだったのだが。タイトルから既に挑戦的で、またしても不愉快になってしまったのである。 『タイトル:ももちんはキ○ィちゃんのネコ耳が付いたフードが着られる?』 「涼一が着るならまだしも、何で俺がそんなの着なきゃならないんだ。似合わないのが、手に取るように分かるだろうよ!」  ブツブツ文句を言いながら、本文を読み進めた。 『本土に帰る前に、お世話になった井上さん兄弟に挨拶に行ったんだ(イケメン漁師の人ね)  そしたら表に干してある洗濯物の中に、キテ○ちゃんのネコ耳が付いたフードが干してあったのさ。  誰が着てるんですかって訊ねてみたら、イケメン漁師が意味深に微笑んで、「それ、俺が着てるんです」って言ったんだよ! んもぅビックリでさ。しかも意味深に微笑んだ途端、隣にいる弟が赤面したのが、個人的に気になってしまったのだけど――何かのプレィで使っているのか!? ((ノェ`*)っ))タシタシ  華奢で、可愛い感じの弟が着ているモノだと思っていただけに、ギャップ萌えしてしまったよ。  ま、イケメンだから何を着ても似合うだろうけど、ももちんは流石に着れないよね、恥ずかしがり屋さんだから。゚(゚^∀^゚)゚。』 「……何かのプレィって、どんなプレィなんだよ? ニャンニャンするのに使うのか? ああ、もう無性に腹が立ってきたっ」  前回同様に、文句を言いながらも傑作を描くべく、さらさらっと筆を滑らせる。そしてものの5分で、完成させてしまった。 「自分よりもイケメンに描いてしまったのは、サービス精神が溢れまくっているからだと言っておこう。しかしムカつく気持ちは、消し去ることが出来なかった」  醜い自分の心を見せないようにすべく、静かにスケッチブックを閉じた。勿論、涼一には内緒の作品である。 「別な作品が出来た時に、一緒に見せて醜さを半減させる作戦でいくか」  醜さを半減させるリクエスト、お待ちいたしております。桃瀬

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