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ボーダーライン 12話
◆◆◆◆
「社長んち、ホントでかい!」
拓海とナオは2人でシャワーを浴びていた。
「そうだね。部屋も多いし……綺麗にしてある。定期的に掃除頼んでるみたいだね」
「何?その主婦みたいな目線は」
拓海はシャンプーでワシャワシャと髪を洗っている。
「あ、こら、爪立てて洗っちゃダメだよ。頭皮を傷つける」
ナオは拓海の髪をマッサージするように洗い始める。
「ナオ……すげえ、気持ちいい。ナオの指先好き、優しいから」
「そう?拓海がワイルドすぎるんだよ。髪質やわらかいんだから、傷つけちゃうよ」
「ほんと、ナオって保護者」
「拓海に手がかかるだけだよ」
「ナオって世話好きだよね。………嘉樹もさ、こうやって髪とか洗ったの?」
「小さい頃はね……でも、いつの頃からかな?一緒に入るの嫌だって拒否られて、凹んだ事ある」
「へえ~、何で?」
「いま、考えると、ちょうど身体に変化が訪れる時期だったから、恥ずかしかったのかもね」
「あ~、毛が生えたりとか。俺も修学旅行とか嫌だったもん。皆で風呂とか」
「皆で風呂入るの?日本って」
「あ、そっか、ナオはアメリカ育ちかあ。ちんこのデカさ比べとか色々やったな」
「なんだ、それ?」
「ナオはやらなかったの?……って、ナオって初体験いつ?」
「それ、聞きたい?」
そう聞かれ拓海は言葉にせずに首を振る。
「………やっぱいい、ヤキモチ妬きそうだもん」
「僕も拓海の初体験とかはあまり聞きたくないな~。拓海が自分以外に抱かれるの考えたら、死ぬな」
「えっ?やだ!!死なないでよ!」
拓海はナオにしがみつく。
「死なないって。ほんと、拓海って………可愛い」
泡がついた手を背中に回す。
「僕は拓海が好きだよ?不安にさせてる?」
「させてない。俺が勝手に色々考えるだけ………嘉樹をまだ、好きかな?とか……でも、いいんだ。嘉樹はナオの大事な弟だから。でも、抱くのは俺だけにして………嘉樹を抱きたいとか、抱こうとかしないで」
「しないよ?嘉樹は弟だから。抱かないよ。拓海しか抱かない」
ナオは拓海の頭を撫でる。
「うん………ごめん。俺、凄くワガママ……ごめん、凄く嫌な奴で」
拓海はギュッとナオの身体にしがみつく。
「ワガママじゃないよ。嫌な奴でもない……不安にさせて、ごめんね。大丈夫だよ。僕はずっと、拓海だけだから」
ナオに抱きしめられて、拓海は何度も頷く。
分かってる!!ナオはちゃんと自分を愛してくれている。
でも、それでも、心のどこかに不安があって、それを消せない。
好きになればなるほど、不安が勝手に大きくなる。
ナオは悪くない。
嘉樹はもっと、悪くない。
嘉樹は自分に似ている。
親に愛されなかった者同士。
だから、彼の不安や寂しさが分かる。
ナオに執着していたのも、自分に似ている。
嘉樹を嫌っていたのは、きっと、昔の自分を思い出すから。
でも、全部受け入れないといけない。
全部受け入れたら、きっと、楽になる。
前にすすめる。
拓海はナオの胸に顔を寄せて彼の鼓動を聞いていた。
それで、安心できる。そんな気がして。
◆◆◆◆
「こら、じっとして!」
ドライヤーを髪にあてながら、動く拓海に注意する。
「ねえ、制服また着ようか?」
拓海はチラリと脱いだ制服をみる。
「気に入ったの?」
「制服プレイとか?」
「あ~、確かに拓海可愛かった」
「じゃあ、着ちゃおうかな?」
「汚すと悪いよ?」
「何?そんな激しい事しようと思ってたのナオ?」
ニヤニヤして、ナオを見る拓海。
「ほんと、拓海って!!」
ナオはドライヤーを止めると、制服のある方へと向かい、ネクタイだけ持って戻ってきた。
何するんだろ?って拓海がキョトンとしていると、ナオは拓海の腕を取り、後ろ手でネクタイを使い縛った。
「こういう使い方とか、あるよね」
ナオはニコッと笑うと拓海を肩に担ぎ、ベッドへと運んだ。
「えっ?なんで縛るの?」
ベッドに降ろされた拓海は不満そうに聞く。
「おさわり禁止」
ナオは拓海を組み敷く。
「えー!!やだ!!ナオに触りたい」
「だーめ、気持ち良くしてやるから良い子にしてて」
ナオはそう言うと額にキスをし、それからまぶた、そして、頬………その後に唇へとキスを落とす。
キスだけで、拓海は身体が熱くなってきていた。
縛られるシチュエーションとか初めて………
違うやり方するだけで、興奮している自分に気づく。
「いつもより興奮してない?」
息が荒い拓海にいち早く気づくナオ。
「興奮するよ………社長の家でしかも縛られて……ナオに攻められてるんだよ?興奮しないわけないでしょ?」
「たまには………ね。マンネリだと拓海に飽きられる」
「飽きるわけないだろ?ナオに触れられるだけで、勃ちそうなのにさ」
「うん、………下、ギンギンだよ?」
ナオはそう言うと拓海の下半身へ手を伸ばす。
「あっ、」
ナオに掴まれ拓海は小さく声をあげた。
「ここ、どうされたい?」
「………きくの?そして、答えるの?」
「聞くよ?そして、答えて欲しいな?」
ニッコリ微笑む。
「わかってるくせに………口でして」
「りょーかい」
ナオは拓海のお願いを利くように下半身へ顔を持っていく。
そして、ギンギンになっている拓海のソレを口へと咥えた。
「あっ……」
途端に漏れる拓海の声。
縛られるシチュエーションはナオなら燃えるな……
拓海はゆっくりとくる下半身からの快楽に声を漏らす。
◆◆◆◆
「嘉樹、ほら、身体拭くから、ちゃんと立って」
「ん、……」
ウトウトしているyoshiは豊川の方へ倒れ込む。
身体を支えながらしょうがないと抱き上げた。
まだ、少し濡れているが、部屋で拭けばいいだろうと、yoshiを抱えたまま、2階へと上がる。
2階へ上がるとベッドがきしむ音と、二人の喘ぐ声が微かに聞こえてきた。
左側使っていいよと言ったけれど、他人の営みの音を聞くのは照れる。
yoshiが寝ていてくれて良かったと思う。
ベッドへとyoshiを寝かす。
何も着せていないから、素っ裸。
あの二人の声に刺激されて、yoshiに手を出したいが寝いてるの子に手を出すのは気が引ける。
今夜はyoshiとこのまま眠るのもいいな。
yoshiの横に横たわり、彼の身体を引き寄せ抱きしめる。
体温が伝わってくる。
この部屋でこうやって誰かを抱いて眠るのはyoshiが初めてだった。
高校までしか居なかったから。
光一が泊まりにきていたが、ベッドで一緒に寝るわけではなかった。
不思議だな。あの頃、産まれていなかった子と一緒に眠るのは………
豊川はゆっくり、目を閉じる。
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