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思い出したくない事 4話

*******  「ん…はあ…」 何度もキスを繰り返し、yoshiは甘い吐息を吐く。 「嘉樹、これ以上はお預けだ」 豊川はyoshiから離れた。 「やだ、もっと」 yoshiはギュッと抱き着く。 「光一が戻って来るだろ?」 「ちぇっ」 yoshiは仕方なく諦める。 「でも、ちょっと熱いな」 額を触る。 キスしている間、熱を感じていた。 興奮してるからだと思っていたが違うようだ。 「熱ないよ」 yoshiは豊川の手を退かそうとする。 「体温計あったと思うから待ってなさい」 「ないってば!」 yoshiは立ち上がる豊川の腕を掴む。 「ないから、行かないで」 不安そうに豊川を見上げる。 一人にしないで! 身体全体で訴える。 「嘉樹…大丈夫だから」 豊川はベッドの端に座り頭を撫でる。 「すみません」 事務所のドアの向こう、ナオの声が聞こえて来た。 「ナオ…?」  yoshiは嬉しそうに身体を起こす。  「すみません、中入ります」  そう言ってナオが中へ入って来た。  「なお…どうしたの?」 「光一さんにyoshiが倒れたって聞いて」 ナオはyoshiの側に来ると頬に手をあてた。 「熱い…大丈夫か?」 「大丈夫だよ」 yoshiはナオが来るとは思っていなかったのか、凄く嬉しそうだ。 嬉しそうなyoshiを見つめる豊川は複雑だった。 淫らな事を出来るのは自分だけだ。でも、嬉しそうな顔をナオにも見せる。 ヤキモチかな?  この年で? 豊川は自分で自分を笑いそうになる。 「連れて帰ります」 そう言うナオに豊川は、 「送っていきますよ」 と鍵を出した。

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