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第2話 ノリオ
私の父親が亡くなった…母親が泣いている
私は泣けそうにない…それは辛い思い出しかないからな…実父から犯されていたなんて誰が言えようか
トラウマを植え付けられて…心も体も汚れきった
働きにも行けず母と供に暮らしていている
「ノリオ…良い年なんだから働いたらどうだい…きっと葬式に親戚が集まるから働き口があるはずだよ母さんも聞いといてあげるから」
「ありがとう…だが…葬式の場で職探しとは…出来そうにない」
そうとだけ言わないと母親は許してくれない
世話焼きで今の今まで私の居候を許してくれるほどだ…親戚の集まる葬式で何を言われるか…
葬儀場につくと懐かしい人々が集まっていた
まぁ母親のふるさとだから顔見知りしかいないんだが…一人だけ知らない人がいた
叔母さん方が彼を見ながら話している…私は耳を傾けてみる
「あの子来たんだねぇ」
「ほんとだねぇ…あれだろ不倫相手が産んだっていう」
「顔が怖いねぇ…きっと母親もあんな顔なんだよ」
不倫相手が産んだ…知らなかった…私よりも5つぐらい下の…つまりは腹違いの弟がいたなんて
喜びで舞い上がりそうだ…母親からは不倫もなにも聞かされてなかったから…だが彼は分からないだろうな…言ってみれば知らない場所なのだから
たくさん話してみたい…ここがどこで私たちが兄弟であることを…
彼がお焼香をしてる間内容を考えていた…早く話したい
だが目があったときのあいつを見て話しかける自信がなくなった
私に向けられる恨みや怒り…その奥の恐れが私を足止めした
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