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第22話

鬼たちの六つの手は初め少し遠慮がちに、桃太郎の存在を確かめるように着物の上を這っておりましたが、次第に大胆に肌蹴(はだけ)た着物の内側にも入り込みます。 桃太郎は右の手で赤鬼の、左の手で黄鬼の摩羅を扱き、舌で青鬼の摩羅の先端から溢れ出す滴を味わっておりました。摩羅尽くしに幸せを感じつつも、自分の体に延ばされた手に「何をするのだ?」といぶかしげです。素肌を這い回る鬼たちの手は、胸、腹、尻、太腿、脹脛(ふくらはぎ)、爪先と、あらゆるところを確かめるように、そしてどこか有り難がるように触れていきます。 「これ、そんなに触っては尺八が吹けぬだろう。聞いておるのか、これ」 特に危機感無く桃太郎は諌めましたが、「オシエ モウイイデス。オトコ スバラシイデス」とどこか毅然と決意を漲らせた様子で黄鬼が言いました。 そして突如、桃太郎の左の乳首をきゅうと捻りました。 「あうっ」 桃太郎が声を上げてびくんとのけぞると、それを見た赤鬼も右側の乳首をきゅう、きゅう、と何度も抓ります。乳首を捻られる度にびりびりした感覚が胸から背筋を伝い、神通力と共に体を巡って股間に集まってきます。 爺婆の男女の営みを見て育った桃太郎ではありましたが、衆道が持て囃される風習のない鄙だったので、男と男でも摩羅以外に触れて快楽を感じさせることがあるとは全く知りませんでした。そのため自分が鬼たちに触れることがあっても、その逆は想像しておらず、こうして初めて乳首を抓られて淡い快感が体をかけるのに戸惑っておりました。 乳首への刺激は初めてとはいえども、そこは淫奔な性質の桃の精です。元より体の感覚は鋭敏でしたので、新しい刺激もすぐに快感に繋げてくれます。しかも、赤鬼と黄鬼は息遣いを乱し、興奮した様子で両の乳首を捻っておりますので、いやらしいことをされていると強調されているようでまたたまりません。 鬼たちの太い指に摘まんで捏ねて引っ張ってされている桃太郎の小さな乳首は、抗いがたい力に翻弄されて無理矢理快感を感じさせられているといった様子で、見ているだけでも桃太郎の目はとろりと濡れてしまいます。 桃太郎は時々高い声を上げて体をびくびくさせながら、ぺたりと座り込んだ状態で三本の摩羅に奉仕を続けました。 桃太郎が現在熱心に傘の周りを舐っている青鬼の摩羅は、見れば見るほど、しゃぶればしゃぶるほど尺八を吹くのに理想的な摩羅です。この摩羅で喉の奥を突かれればきっとあっけなく甘露を吐き出してしまうだろうと思い先ほどから我慢しておりましたが、乳首への刺激も相まっていよいよ我慢がきかなくなってきておりました。 今こそ旅の本懐を遂げるときかと、竿の根元から先端まで何度も舌で辿ったり、顔を横にして中ほどを咥えたりして青鬼の摩羅の寸法を念入りに確認します。 そして遂に、赤鬼と黄鬼の摩羅を手放し、青鬼の摩羅の根元を両手でそっと支えると、念願の鬼の摩羅を喉奥で味わおうと大口を開けました。 ぢゅうっ 「ひうっ」 これまでと異なる刺激に思わず悲鳴を上げると、黄鬼が大きな体を窮屈そうに屈めて桃太郎の左の乳首に吸いついておりました。そのままぢゅうぢゅうと痛いほどの力で続けて吸い上げられます。 「やああぁっ」 強い刺激にたまらず青鬼の摩羅から手を離し、黄鬼の頭を掴みますが、ただでさえ吸われて苦しいところを無理に引きはがすことなどできません。 どうしようもなくて黄鬼の頭を抱き込んでしまうと、それを不服と思ったのか、赤鬼が桃太郎の片腕をぐいと引っ張り体を開かせました。そのまま織物を敷いた地面に難なく桃太郎を引き倒し、覆いかぶさるようにして右の乳首に吸いつきます。 倒された拍子で離れてしまっていた黄鬼の唇も、またすぐ元の通り左の乳首に戻ってきましたが、今度はすぐには吸いつかず、唾液に濡れて震える乳首を長い舌でちろちろと舐め初めました。つんつんとつつくようにしていたかと思うと、舌の腹で押しつぶすようにべろりとやられ、桃太はあっあっとたくさん声が出てしまいます。 右手は赤鬼の手でやんわり地面に縫いとめられ、左手は黄鬼に指を絡められて、身動きがとれないまま両の乳首をそれぞれに嬲られます。 赤鬼は黄鬼より更に遠慮ない強さで吸い上げたので、ぢゅうううという大きく長い音と一緒に桃太郎はあーっと大きな声を上げました。 それを見た黄鬼は強い刺激の方が桃太郎からより反応を引き出せると思ったのか、今度は左の乳首を上下の歯で挟んで軽く擦り合わせるように動かします。乳首は刺激ですっかり敏感になっていたので、そんなことをされたら桃太郎はたまったものではありません。もう青鬼の摩羅どころではなく、辺りを憚らない悲鳴交じりの声であんあん喘ぎます。 黄鬼と赤鬼が一瞬口を離した時に見えた乳首は、鬼の唾液で濡れ光り、自分のものとは思えない程真っ赤に腫れておりました。 これまで着物を脱ぐことに一切躊躇などなかった桃太郎でしたが、散々弄繰り回されたと一目でわかるその乳首は、もう人目に触れさせるのは憚られる造形になってしまいました。往来の端で積荷に隠れて平次の摩羅をしゃぶっても、人に見られることを想像して興奮を掻き立てられていた桃太郎です。自分の乳首がいやらしく色づいて、薄手の着物では浮いてしまうほど大きく腫れ上がったのは、興奮材料以外の何物でもありませんでした。

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