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苦い過去 7

「僕は先輩とは違う。裏切るくらいなら先生を好きになったりしないですよ。」 俺とは対照的に落ち着きを崩さない星川が、静かにゆっくりとまるで俺に言い聞かせるかのように言い放つ。 「言っとくが、俺は……本気になんか…ならない。」 「なら、それでいいです。とりあえずこのままセフレとして身体は許してください。少しずつ僕が先生を変えてみせます。」 「おまえさ、なんでそんな必死なわけ?」 「好きだから。それだけだっていつも言ってるじゃないですか。」 当たり前のように“好き”を繰り返すこいつの言葉に最近は麻痺しているかのようだ。 だって、こいつを知れば知るほど頭の中が理解不可能で俺は勘違いしそうになる。 でも同じ間違いを繰り返しちゃいけない。 “好き”も“絶対”も信用ならない。 「勝手にしろ。」 だが、もう何を言っても無駄な気がして俺は諦めにも似た声色でそう冷たく吐き捨て、すっかり冷えてしまった剥き出しの上半身をシーツで隠し不貞腐れたように背を向けた。 すると無言のまま、シーツ越しの俺の背中に素早くキスを落とした星川はベッドを降りて寝室を出て行ってしまった。 ドアがガチャッと閉まる音が静かな室内に響いたと同時におもいっきりデカいため息を吐く。 はぁ……マジ情けない。 いい大人がたかが恋愛ごときにこんな悩まされるなんて。 もう本気の恋愛なんて懲り懲りなんだよ………なのに──── シーツにくるまりながら、一人悶々と自問自答を繰り返していると、昨日からヤりすぎで疲れていたからか、いつの間にか俺はまた眠ってしまっていた。

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