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儚い感情 26
「……ごめん、本当にごめん。俺、一生かけて償うから…だから、俺のとこに帰って来てくれ。」
すっかり短くなった煙草をなんとか携帯灰皿に押し込んで、気持ちを落ち着かせようとする。
ありえない。
絶対に…ありえないだろ。
「…………小太郎?」
だけど、俺の心臓はドクドクとやたら速く打ち付けていて…頭の中は真っ白で、
「………小太郎…愛してる…小太郎…」
そんないつか聞いたような甘い囁き。
色褪せたままの俺に色を付けるようにそれは繰り返された。
そして思考能力ゼロの俺更に荒々しく抱き締めてくる。
そして、近くにあった椅子へと俺を無理矢理押し座らせられると、洵也がその上に跨ぐように乗ってきた。
「おっ…おいっ!!やめろっ!!
「信じてないような顔ばっかりしてるから…俺が、今でもどれだけ小太郎を好きか…」
────証明する
と、真顔で言われたと同時に口を塞がれ深い深いキスをされた。
激しくて…情熱的なキス。
あの頃、俺はこんなキスが嫌いじゃなかった。
そう────
俺の身体は、
洵也とのキスを、
覚えている。
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