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儚い感情 25

そして…少しだけ安堵の表情を浮かべた洵也が、ゆっくりと口を開く。 「俺たちの関係がバレたあの時、俺は理事長と約束をしたんだ……」 「約束……?」 「あぁ。理事長の言う通りにする代わりに、俺がここを継ぐ時が来たら…小太郎に全てを打ち明けて…もう一度告白するって。だから、あの時はああするしかなくて……本当にごめん。」 ちょっと待て。 これ、朝比奈が言ってた通りじゃないのか……? あいつ、なんで…… 「結局は俺が、一方的に小太郎を捨てたような形になっちまったけど…実は違くて、俺の本心じゃなかったんだよ。」 「本心じゃ……なかった…」 「そうだよ。それに継ぐ時までなんて待てなくて必死に理事長を説得して…渡米する前に迎えにきた。だから、一緒についてきて欲しい。 俺は小太郎のことを───…今でも変わらず愛してるんだ。」 ………意味が、分からない。 今でも愛してる…だと? 迎えに来た…だと? 「そんなの……自分勝手過ぎるだろっ。な、な…んなんだよっ!俺はあの時、あんなにも……」 あんなにも洵也を…愛していたのに、“遊び”だと言われて俺はドン底に突き落とされたのに。

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