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儚い感情 28
悪魔の囁きのように、遠くで熱を帯びた声が俺を泥沼へと導いていく。
「小太郎……俺と今ここで────…セックスしよ?」
甘いその声は媚薬のようにこの身体を熱くさせ
、理性を崩し始める。
快楽に順応なのは昔から。
だから俺はあの時、こいつと危険な橋を渡ってしまった。
今も、
久しぶりの体温に……
久しぶりの熱に……
久しぶりのその大人びた声に……
あの時味わった快楽にもう一度手を伸ばそうとしている。
……馬鹿だよな……
もう一人の自分が呆れたように呟くのが聞こえた気がした。
ここは学校なのに、
また渡ってしまうのか────その禁断の橋を……
「小太郎……返事は?」
そして追い討ちをかけるようにまた熱く囁く
────年下の悪魔……
「おま……え…ッ…」
「まぁ、返事しなくてもこの身体見てればわかるからいいけど。」
「……ッ……んッ…や…」
「いや?ここ、もうこんななのに、よく言うよ。」
やんわりと下半身を揉みしだきながら、洵也は言葉の合間にまた乳首を舐めてくる。
「答えは…とりあえず今はいい。だけど、こうして俺だけに感じる身体だってこと思い出して。こうしてさ、乳首甘噛みしながら舐めるとすぐイっちゃうのだって…ッ…アイツ知らないだろ?」
ああ、そうだよ。
俺の性感帯を全部知ってるのはおまえだけ。
星川は………多分、知らない。
だってアイツとは……
ふいに脳裏に星川がちらつき、アイツを思い出した途端……
何故か俺の身体は……
「……ああッ…ああッ…んッ…ダメッ…あああッ…!!」
一気に頂点まで上りつめ、
……イってしまった。
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