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儚い感情 29

「………ずいぶん感じてたね。小太郎そんな早かったっけ?」 「…………うるさい。」 「そんなに気持ちよかった?」 「うるさいって言ってるのが聞こえないのかよ。」 自分の身体がコントロール出来ない。 まるで身体と心が別々みたいな、意志とは反対に反応していく。 イかされたのは確かに洵也の手と唇。 だけど……… 何で、 星川…なんだ。 どうして星川を思い出した途端に身体が熱くなったんだ。 「……小太郎?」 「……おまえ…これ以上したら…殴るぞ、手放せっ!」 頭の中が混乱する。 なんだ…よ、くそっ…… なんで、なんでっ…… イライラする気持ちを断ち切りたくて身を捩りながら声を荒げた。 「どうしたんだよ?そんな怒らなくたって……」 「べ…べつに…怒って…ない!」 「むくれた顔して……すげー怒ってるじゃん。」 「しつこいぞっ!」 「可愛い……。そんな顔も好きだ…小太郎…」 「おまえ馬鹿なのか?」 「だって可愛いんだから仕方ない。こうして抱きしめる腕の中でむくれた顔見れるとか……懐かしくて……なんか、嬉しい」 今の洵也には何を言っても無駄なのかもしれない。 手を放すどころか、また俺の首筋に顔を埋め…愛を囁き俺を混乱させる。 そして俺は、 星川のことを深く考える前にまた…──── 流される…… ──────── ──────

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