124 / 190

蒼い純情 25

完全にテンパる俺はなんとかバスタオルを見つけ、それを腰に巻いただけの情けない格好のままでベットにとりあえず座った。 脳裏を掠めるのは昨日からの星川の曇った顔。 あいつ……初めからこうするつもりだったとかじゃ、ないよな。 最初で最後のデート……とか。 言い知れぬ不安で胸が急に苦しくなる。 なんだ、これ。 なんなんだよ…… とりあえず落ち着こうと、綺麗に畳まれた洋服に手を伸ばそうとした瞬間、ガチャッとドアガ開く音がした。 「あれ?小太郎さん?」 するとビニール袋を下げたいつも通りの星川が俺のとこに歩み寄ってくる。 「おまっ、どこに行ってたんだよ!」 「え……小太郎さんお腹空いてるかなって思ってコンビニに……て、小太郎さんこそどうしたんですか、そんな格好のままで」 「風呂出てきたらいねーからびっくりしたんだよ!」 「えっと、心配してくれたんですか?」 「はぁ?なに言ってんだよ。びっくりした……だけだって……ちょっ!!」 びっくりしただけだって言ってるのに大袈裟すぎるだろ。 そんな悪態を吐く前に感じた温もりと…… ビニール袋がドサッと床に落ちたのとが同時で、気付けば裸の俺は抱きしめられていた。 「ちょっ、いきなりなんだよ。服濡れるから」 「本当は、帰ってしまったのかと心配したんでしょう?」 「ちっ……違うって!ほらっ、服っ」 「服なんてどうでもいい。あなたがそんな顔してるのが悪いんです。期待……しちゃうじゃないですか……」 「……え?」 「そんな顔見せられたら、僕にも希望あるのかなって……期待しちゃうじゃないですか。」 「……え、いや……あの、さ……」 「それ以上言わなくていいです、わかってるから……もう、僕を好きになってなんて言いません。」

ともだちにシェアしよう!