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Lesson Ⅴ 淡いキス 1
あれから、チェックアウトの時間が迫られていた為、余計な話はせずに帰路に着いた。
何を話したらいいか分からなくなっていた俺には正直好都合で、口数が少なくなってもハンドルを握ってしまえば違和感はない。
しかし、
運転を始めてからずっとお互い無言てのも気まずい。
「……あのさ、」
「なんですか?」
耐えきれずにとりあえず切り出したけど、次に続く言葉がない。
「……えっと、」
「無理しなくていいですよ。僕は大丈夫です。」
そんな俺とは対照的な星川が淡々と話を切り返してくる。
大丈夫?
何が?
「先生て意外と優しいですよね。」
「……あ、え……意外って……なんだよ。」
「いえ。意外て言うか……優しいですよ。」
声のトーンを少しあげながら優しげにそう口にする星川は、穏やかで……
何が大丈夫だよ。
逆に大丈夫じゃない気がして言葉に詰まる。
「そういうとこ……好きでした……」
「え……」
「あ、また雨降ってきましたね。でももうすぐ着くから……あ、でも外出る時濡れちゃいますね。」
「あ……あぁ、そうだな。」
……でした、
────か。
まさかこんな言葉を聞くなんて。
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