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第15話 どうしよう
自己嫌悪……だけじゃない。
落ち込んでるのも確かだけど、腰が砕けちゃったみたいに力が入らなくて、ベンチに腰を下ろしたまま動けないでいる。
パンツ、気持ちわるい。
早く穿き替えたい。
なんか飲みたい。
……腰が重い。
そんなわけでかれこれもう5分余。
電車も2回、発車してったって言うのに、ベンチから立ち上がれない。
せめてまだ熱の引かない顔を、ホームを歩く人達から見えないように俯けて。
友達居ないって、こういう時に助かる。
交友関係広い奴って絶対、こんな風に座ってたら色んな奴から話し掛けられちゃうもん。
「……遼?」
そうそう、こうやって下の名前で呼ばれ、て……?
「え、…羽崎?」
羽崎がどうしてここに?
なんて一瞬疑問に思って、学校の最寄り駅なんだから居ても当たり前じゃないか、ってすぐに気付いた。
「あ、おはよう、羽崎」
顔の筋肉がへにゃんと力を失った。
……だらしない顔で笑っちゃった。
「おはようじゃなくて、お前どうした?」
心配そうに顔を覗き込まれる。
ちょっと、罪悪感。
ううん。かなりの罪悪感。
俺、お兄さんに触られながら、これが羽崎の手だったら…なんて思いながら感じちゃった…から。
目が合わせられない。
「あの…、俺、ちょっと気持ち悪いから、ちょっと休んだらトイレに行こうと思ってて…」
「気持ち悪いって、酔った?大丈夫か?吐くか?」
「あっ、ううん、大丈夫!羽崎、先に行ってていいよ。遅刻したらいけないし」
「馬鹿、余計なこと気にすんな。辛かったら俺が連れて帰ってやるから」
「うぅ~、羽崎が優しくてどうしよぉ~~。なんで俺になんか優しくすんのー?!」
「おい、なにゴチャゴチャ言ってんだ。立てるか?」
頭をぽんぽんってされた。
肩を貸してくれようとするから断ると、手を引いて立たせてくれる。
ほんと、優しくて男前でどうしよう!?
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