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覚束無い足取りでリビングを抜け、奥にある寝室へと向かえば、もうあの頃には戻れない。 ルイは寝室に入るや否や 茅野のコートを脱がし、熱を持った体を抱き寄せる。 ぬるい暖色のセンサーライトが足元を照らし、2人は縺れ込むようにベッドへと横になった。 不思議なほどに嫌悪感はない。 それどころか、布越しに感じる彼の体温が心地いい。 「ン、…っ…ぁあ…」 すっかり着崩れた服。 肌蹴たシャツの隙間から 素肌を撫でられただけで、思わず嬌声が漏れる。 茅野の身体に覆いかぶさったルイはジャケットを脱ぎ、ブランドのネクタイを乱暴な手つきで外した。 闇の中で輝く色素の薄い瞳に見つめられるだけで、下腹部が疼いて仕方がない。 茅野はルイが脱ぎ捨てたジャケットに手を伸ばし、おもむろに顔を埋める。 なぜそんな行動をしてしまうのか、自分でも分からない。ルイの匂いには、異様に惹き付けられてしまう。 部屋に充満するのは、強烈な『雄』の匂い。そして、中毒になりそうなほどに ひどく甘くて優しい『ルイ』の匂い。 劣情を掻き立てられるのに、幸福感に満たされて。 それでいて、泣きたくなるほどに切ない。 「っ……雪」 じっとりと汗ばんだ茅野の服に手をかけたルイは、そう呟いて 震える手でボタンを外し始める。 もはや2つしか残っていないカーディガンのボタンでさえも、開けるのが煩わしく思えるほど、余裕は1ミリもなかった。 茅野もまた同様に、ルイの着ているベストのボタンを外していく。ワイシャツのボタンに比べれば大きいものの、手つきは拙く、時間はかかってしまう。 露になっていくお互いの裸体。 素肌の熱が混じり合う頃には、冷静さなど当に失っていた。 「…ルイ、っ……」 譫言のように何度も男の名前を呼びながら、きつく身体を抱き締める。 横を向いて抱き合った2人は、どちらからともなく唇を重ね、確かめるようにお互いの身体に触れていった。 「…はぁ、…っ…はぁ」 乱暴にすれば壊れてしまいそうな程に細い腕と、柔らかい肌。 小さな唇、遠慮がちな舌、どこを触っても漏れる嬌声。 「ぁ、…あ……ンっ…」 隆々とした筋肉と、大きな掌。 柔らかい唇とは対照的な 強引な舌づかいに、胸の高鳴りが止まらない。 「ひっ…ん……ぅ…あぁ…」 漏らしてしまったかと思うほどに濡れた下着。 割れ目を行き来する男の指に、茅野は思わず背中を反らし、羞恥に顔を赤く染めた。 意識していなくとも、後孔はヒクヒクと収縮し、刺激を待ち侘びる。 茅野の太ももに当てられた、一際 熱を持ったルイのソレは、今にもはち切れそうなほどで。簡単には入るはずもないほど大きいその屹立が、今は愛しくて堪らない。 ごくりと唾を飲んだ茅野は、恐る恐るそこへと手を伸ばした。

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