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「ふふ…っ。
すっごいのが出来たよ…っ」
悪戯っぽい顔で璃音が振り向いた。
「こら。
せっかくのラブラブな所なのに、いきなりトランスするな」
「だって…、龍嗣とえっちすると、シナプスが活性化するみたいなんだもの」
少し困ったような顔になり、璃音は龍嗣の首筋を甘く噛んだ。
木天蓼(またたび)に酔う猫のようにのどを鳴らす。
「ね、すっごいのが出来たら、ご褒美欲しいなぁ…」
「何がいい?」
暫く考え…。
「龍嗣と二人だけでラブラブな時間を過ごしたいなぁ。
お互い絶対に仕事持ち込み禁止にして、一緒に過ごしたい…。
一日だけでいいから…」
それは、かなり安上がりなご褒美じゃないのかと、龍嗣は半ば呆れる。
「それだけでいいのか?」
「それだけって…、充分我が儘でしょ」
「我が儘とは言わないだろう?
もっと、高いものをねだるとかないのか?」
「欲しいのは、龍嗣だけだもん」
「………」
蕩けそうな顔で漏らしたのは、呆れるほどに率直な言葉だ。
極上の快楽と、莫大な富を伴侶に与えるという水上の子供たち…。
その中で最も血が濃く、最高の教授陣を投入して育て上げられたのが璃音だ。
尽くし、巨万の富を捧げる子供…。
驕らず、当然のものとせず、それ以上の愛情を璃音に注いでみせる…。
「璃音が欲しいだけ、二人っきりの時間を作ったよ。
向こう1ヶ月はラブラブ休暇になる。
そうだな…。
だれにも邪魔されないように、湖の傍の別邸へでも篭ろうか」
「ほんとう…?
ホントに1ヶ月ラブラブ?仕事しないで一緒にいられる?」
漆黒の瞳が煌めく。
「ああ。
璃音が欲しいだけ」
「嬉しい…っ」
抱きついてきた璃音の顔が、甘く甘く蕩けていく。
「…っ、嬉しい…。
僕、いっぱい愛しちゃうよ…っ」
見返りを求めない、深い愛…。
幼い頃から恋をして、龍嗣だけを愛し抜いてくれた…。
ならば。
生涯かけて、悦ばせてみせようではないか。
「愛してるよ」
はくり。
「あ………ッ!!」
薔薇の蔓が刻印された首筋を甘く噛む。
薄く歯形がついた場所を舐め上げ、震える体を抱きしめる。
「君が捧げる以上に愛していくからな…?」
目が眩む程の深い愛を注いでいでしまおう。
そうして、魂が溶け合うほどに篭絡してみせる。
何度も唇を啄み、龍嗣は璃音をきつくきつく抱きしめた…。
おしまい。
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