6 / 7
口実探し。
「あね、き、さん。ですか……?」
これは、いったいどういうことでしょう?
「実は、棗くんに弁当を食べてもらっていたの、料理の研究のためじゃなくて……その、君と会うきっかけっていうか……」
「?」
楓さんは、いったい何がおっしゃりたいのでしょうか?
ぼくにはよくわかりません。
首を傾げていると、楓さんは赤くなった頬をポリポリと掻き、また口を開きました。
「ここ数日間、会えなくて。君がジョギングコースを変えたのって、俺の所為だよね。嫌われたのかと思って……」
「違っ!!」
ぼく、楓さんを嫌わない。
好きなんです。嫌えないです!!
ぼくがすぐに否定したら、楓さんは大きくうなずいてみせた。
「うん、姉貴に相談したら、ジョギングしている理由を指摘されたんだ。棗くん、ぽっちゃりしていて、目がクリッとしているし、すごく可愛いから。棗くんが何にコンプレックスを抱いているのかとか、俺、全然気づかなくて……」
「うえっ!?」
楓さんの口から、なんだかとってもおかしな言葉を聞いたような……。
可愛いとか、きっと、ぼくの聞き間違いですよねっ!!
瞬きを繰り返していると、楓さんはとっても真剣な顔をして、ぼくの両肩を掴んだ。
「俺、君の事が好きなんだ!!」
うぇええええっ!?
今度は聞き間違いではないようです。
「あのっ、あの!! だってぼくは青虫で、蝶にはなれなくて……」
「え? 青虫? ……えっと、俺にとっては君はすでに蝶だけど?」
うぇええええっ!?
ど、、どどどどどっ、どうしましょう。
ともだちにシェアしよう!