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まどろみのkiss
今日は日曜日。病院は休みなので1日まるまる、タケシ先生を独占できる日。
土曜の昨日だって午前中は病院で、午後からフリーだっていうのに、普段出来ない掃除だ洗濯だ買い物だと、雑務に追われていたため、全然構ってもらえなかったのだ。
それだけじゃなく――
俺の過去のことで、いろいろ心労かけさせたのに。
(この内容は、男子高校生 西園寺 圭の真実の恋に掲載中)
『お前の飼い主として、当たり前のことをしたまでだ。そんな、情けない顔するんじゃない』
そう言って、ぐちゃぐちゃと頭を撫でられてしまった。
だったら飼い犬として、夜はサービスすべく、吼えさせてもらうぜ!
なぁんて意気込んで、ベッドに忍んでいったら、昼間の疲れのせいか、死んだように寝ているタケシ先生がいて、がーっと襲う気力が失われたのは、いうまでもない――
一緒に寝られるだけもいいかと、気分を無理矢理変えて、添い寝をしたんだけど。
もう朝の8時過ぎなのに未だに、ぐーすか寝ている愛しい人が、目の前にいる。
以前なら背中を向けて寝ていたのに、付き合うようになってから、コッチを向いて寝てくれるようになった。
それは後ろから、俺が襲うのを防ぐためなのか。
はたまた目が覚めたとき、俺が目の前にいるのを、いち早く確認するためなのか――
大好きな泣きボクロと、はねた後ろの髪が見えないのは残念だけど、それでもすぐ傍で寝ている姿を、こうして見られるのは幸せなワケで。
しかも死んだように寝ているから、何をしても怒られない(笑)
ちょっと触っただけでいつも、
『こらっ! 勝手に触るなバカ犬っ』
なぁんて叱られた挙句に殴られるから、触りたくても命がけなのである(涙)
寝ているタケシ先生の左手をそっと掴み、引き寄せて薬指にKISSをした。そしてまじまじと指先や、てのひらをじーっと見つめてみる。
(o._.)o ドレドレ・・・
キレイに整えられた爪の形は、全然男っぽくなくて、ほっそりした指を、これでもかとキレイに見せていた。
「生命線(σ`з´)σ見ぃ~けっ! うおっ、長生きしそうなくらい長いじゃん」
てのひらを見つめて、その長い生命線を、そっと指でなぞってみる。俺よりもうんと年上だから、一緒にいるためには少しでも、長生きしてもらわなくちゃいけない。
なので――
「疲れを、引きずらせちゃダメだもんな。イチャイチャしたいけど、ガマンだ」
散々左手を見続けてから自分の頬に、その手を乗せてスリスリ。傍から見たら変に思うかもしれないけど、これだけでも幸せを感じられる。
タケシ先生のあたたかさが伝わってきて、自分が生きてるって実感出来るから。
少しだけ茶色い髪を枕に散らして、相変わらず、すやすや眠るその姿に、そっと囁いてみた。
「タケシ先生、大好き……」
こんな無防備な格好が見られるの、俺だけなんだよな。
ウットリ♪・:*・ ( ̄* )
寝ていることをしっかり確認して、前髪の隙間から覗くオデコ目掛けて、KISSをしてあげる。
まったく起きる兆しなし!
やっぱ疲れてるんだなぁ、何か俺に手伝えることないんだろうか。なぁんて言ったところで、軽くいなされるのは目に見えてしまう。
『何、手伝いたいって? お前の仕事は勉強だよ、そっちをやってなさい』
渋い顔して、こんな風に言われるんだろう。これでも桃瀬に勉強を見てもらってから、少しは成績上がったっていうのにさ。
(ピロトークのお話で見てもらってますwww 桃瀬画伯ならぬ桃瀬講師として活躍中!)
「タケシ先生の迷惑にならない程度に、力になりたいんだ」
恋人として、少しでも役に立ちたい。そう思うのは贅沢だろうか――
「タケシ先生……タケシせんせ」
「…………」
「タケシ――」
うおっ! 思わず呼び捨てしちゃった。
モジモジ ))
普段みんなが、周防先生とか苗字で呼ぶから、特別視すべく俺は、名前で呼んでるんだけど。
呼び捨てって何かいつもと違って、ドキドキするもんだな。
頬に置いてるタケシ先生の左手の上に、自分の手を重ねて、もう一度呟く。
「タケシ……好きだよ」
「…………」
(///∇//)テレテレ
やべぇ、かなりテレまくるぞ。寝てる本人、目の前にしてるのに、こんなにドキドキしてるなら、起きてるときにこれを言うとなると、心臓発作が起きるかもしれない!
でもいつか、言えたらいいな――
「――タケシ、すっげぇ愛してる」
それはそれは、蚊の鳴くような小さな声で、やっと告げた言葉だったのに、頬に置いていたタケシ先生の手が、サッと素早く引き抜かれ、背中を向けて寝返りされてしまった。
もしかして――
「……全部、聞いてたとか?」
「…………」
その背中は何も語らず、すやすやと寝息を立てて寝ていたけど。時々跳ねた後ろの髪が、微妙に震えるのだ。まるで何かに、堪えているかのように。
音を立てないように、後ろからそっと、顔を覗き込んでみると――
(*・-ω-*)zzz
思いっきり顔を真っ赤にさせて、居眠りしているではないか!
――いつから聞いてたんだろ、すっげぇ恥ずかしい……
あーもぅ朝からタケシ先生に、翻弄されっぱなし、格好悪いぞ俺。
照れ隠しに、泣きボクロにKISSをしてあげると、身体をビクッと震わせた。
「おはよう、タケシ」
「……朝っぱから、煩いんだよお前は。ひとりで遊んでな」
いつもとは違う、困ったような声色で、ボソボソと告げられる。
「なぁドキドキしてる?」
そんなイジワルな言葉を耳元で囁いて、耳朶を甘噛みした。
「っ……やめろって」
頭目掛けて、振りかぶってきた腕を素早く掴んで、仰向きにさせる。頬を赤く染めて、瞳を潤ませたタケシ先生の顔が、目に映ってしまい、もうもう――
「その顔、すっげぇ反則なんだけど」
困った表情を浮かべながら、睫を伏せると影ができて尚更、色っぽさに磨きがかかる。
これはもう、襲ってくださいと言ってるぞ!
「やめろよ。そんな目で見るな……」
「だったらタケシも、そんな顔するなって。どうして顔を赤くしてるんだよ?」
殴ってきそうな、もう片方の腕もしっかりと押さえ、頭の上でホールドしてやった。
「朝っぱらから何、やってんだ。いい加減離せって……」
「離さない、だって、ほら――」
片手でタケシ先生の腕を掴んで、空いた手を使い下半身に持っていくと、既にそれは形を変えていて。
「うっ……それは、その、朝なんだから、しょうがないだろ」
「ウソばっかついて、可愛いよタケシ。嬉しくてこんなになったんでしょ?」
呼び捨てで呼ぶだけで、いつもの口撃が半減されることに気がついた俺は、どんどん呼んでやった。
おどおどしてる、タケシ先生を見るのも悪くない。
「そんなの、全然嬉しくなんてないっ。ふざけるな、バカい――」
いつものごとく苦情を塞ぐため、無理矢理KISSをする。舌を絡めて求めると、待ってましたとばかりに、自らぎゅっと絡めてきた。
「タケシ、愛してる……」
ハッキリと耳元で告げてから、感じさせるように、首筋を舌でなぞる。
「――歩、俺も……」
囁くように言って、俺の身体を確かめるように、ぎゅっと抱きしめてきたタケシ先生。
日曜の午前中は甘く過ごせることになり、満喫したのであった。
(午後はどうなったか、聞かないでください(_ _,)/~~)
めでたし めでたし
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