71 / 126

はじめてのクリスマス

 それはクリスマスイブ、2週間前のことだった。  この日は珍しく、桃瀬の家でマジメに勉強をしていて。ダイニングテーブルを挟んで、目の前にいる桃瀬は、スマホを弄りながら、勉強を見ていてくれた。  小田桐先生は、夜中まで執筆を頑張ったらしく、自室でお昼寝中。 Zzz・・o(__*)。。oO(熟睡中)  仕事が休みだから来いと、桃瀬に言われなかったら、今頃タケシ先生の家のリビングで小田桐先生と同じく、昼寝をしていたと思われる。 (´・ωゞ)ネムイ 「おい、ここの部分。計算間違ってるぞ」 「あ、ホントだ」 「こういう、ケアレスミスが積み重なると、大きな失点になるからな。確実に解いて、潰していくのがコツだ」  さすがは、元家庭教師をやっていただけある。しかもタケシ先生より優しく教えてもらえるから、マジであり難い(-人-) 南無南無・・ 「なぁ周防にあげる、クリスマスプレゼントは、用意してあるのか?」 「勿論、用意してるよ。何てったって、初めてのクリスマスなんだからさ」  計算している手を止め、ニッコリ微笑んだら、意味深な笑みを浮かべた。 「太郎のクセに張り切っちゃって、コノヤロ! 何をあげるんだ?」  右手に拳を作って、頭をグリグリしてくる。 「タケシ先生が子どもを診察しているときの、微笑ましい様子を描いてみたんだ。勉強の息抜きにもなって、一石二鳥さ」 「へぇ、見事被ったな。俺も涼一の絵を描いてるんだ」  桃瀬の言葉に、一瞬だけ顔が引きつってしまった。破壊力満載のあのイラストをプレゼントされる、小田桐先生の気持ちを考えると、かなぁり複雑である。 「まだ色を塗ってる、途中なんだけどさ」  ウキウキしながら、それを見せてきた。 「( ̄⊥ ̄ノ)ノウッ!」 「この絵に合わせてよ、サンタのコスプレ買おうと思って、ネットで色々見てるんだが。こんなのあったぞ、周防にいいんじゃないか?」  さっきから弄っていたスマホの画面を、俺に見せてくれる。そこにあったのは―― 「ナース服……何故か天使の羽までついてる」 「ほらほら、想像してみ。これを周防が身にまとってる姿」 「や//// ちょっ、待って。小田桐先生なら分かるけど、タケシ先生がこんなの着ても、ちょっと――」  線が細くて、パッと見が女の人に見える小田桐先生なら、何を着ても似合うと思う。  だけどタケシ先生は、まんま美男子。白衣は似合うけどナース服は、ねえぇ…… 「高校時代に一度だけアイツ、女装したことがあるんだ。病欠した、俺の代わりだったけど」 「へえ……」 「セーラー服着て、三つ編みしてさ。普段みんなから、オトンの周防って言われてたんだけど、そのときばかりは周防の変わりように、おったまげたって、大騒ぎになったらしい。俺はあとから写真で、それを見ただけだったから」  オトンの周防っていうのも、どうかと思うのに、セーラー服着て髪型が三つ編みって、どんだけ―― 「確かに涼一と比べたら、女子力劣るだろうけど、セクシーさは間違いなく、周防の方が上だと思うぞ」  くっくっくと含み笑いしながら、言ってくれる桃瀬に、だんだんそれを着たところが、見たくなってしまった。 「あのさ、それって今、注文したら、クリスマスイブまでには、間に合うのか?」 「おう、大丈夫だ。何なら涼一のと一緒に、注文してやるぞ」  こうしてサプライズ過ぎる、クリスマスプレゼントが展開されたのである(;^ω^)  この後のことは、周防目線でお送りしますので、お楽しみに!

ともだちにシェアしよう!