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番外編 ひとりで✖︎✖︎✖︎

――たまには……ひとりでシてみてくださいよ。 それは冗談とかじゃないけど、本気でもなくて、いつも俺ばっかり翻弄されるから、男として少し悔しくてなにも考えずに言った言葉だった。 「ひとり?」 不思議そうに首を傾ける智紀さんに、俺はどうせ言いくるめられるんだろうと半ばやけ気味に頷く。 「たまに俺にひとりでシてみろって言うじゃないですか。俺ばっかり恥ずかしい思いをするとか納得行かないし…。俺だってたまには智紀さんがひとりでシてるの見てみたいです」 ベッドの上、もうすでに俺たちは裸で向き合ってた。 そしてひとりでさせられようとしたから言ったわけだけど……。 「俺がひとりでシてるの見たいの? 面白くないと思うけど」 「……それ言うなら俺だって、俺がひとりでしてるの見たって……」 「ちーくんは可愛いからいいの」 「可愛くないですし、嬉しくもないです」 よく可愛いって言ってくるけど、22にもなる男が言われたってまったく嬉しくない。 だいたい可愛いってなにをさして言ってるのか。 智紀さんはドSだし、きっと俺が恥ずかしがりながらひとりでシてんのを見て楽しんでるんだろうけど。 「本当に可愛いのに」 「はいはい」 「拗ねるなよ。シてやるから」 「はいは……。なにを?」 ポカンと智紀さんを見れば可笑しそうに笑いながら俺の耳元に唇を寄せた。 「俺がひとりでするの、ちゃんと見ててくれるんだよね?」 「え……するんですか……?」 「ちーくんがしてって言ったんだよね?」 「そ、そうですけど」 「ひとりで抜くなんて久しぶりだからできるかなー。あ、向き合ってシていい? 寂しいから」 にこり、と笑ったかと思うと引き寄せられた。 人一人分ほど距離をあけて向き合う。 「面白くないと思うけど、見てるんだよ?」 「……は、はい」 困惑しっぱなしの俺を気にも留めず「おかずはちーくんでいいよね。目の前にいるし」なんて言いながら、智紀さんは自分の半身へを握り込んだ。 もうすでに智紀さんのは勃ちあがってる。 それをいつもなら俺のを掴む指が、智紀さん自身のを握っていて上下に動く。 「……っ」 ほんの少し眉を寄せ次第に熱を帯びた吐息がもれる。 くちゅくちゅと微かに響く水音。 先端から透明な雫が溢れて、それを絡めながら指が動いている。 固く完勃ちした智紀さんのは赤黒く濡れていて時折脈打つ。 「千裕……っ……は」 荒い呼吸の合間に呼ばれハッと我に返った。 俺だって同じものを持ってるのに、なにを見入ってたんだろ。 うろたえる俺の肩に智紀さんが額を乗せてくる。 首筋に吹きかかる吐息。 「ね、キスしてよ。千裕がひとりでスるとき、俺もキスしてあげるだろ?」 ぺろり、と首を舐められる。 「……っ、はい」 ちらり視線を落とした先には智紀さんがまだちゃんと自分のものを扱いているのが見えた。 俺は何もしてないのに、熱が身体を侵す。 顔を上げる気配がして、智紀さんのほうへと視線を流す。 目があって、欲に濡れた目に喉が鳴った。 千裕、と音なく囁いてくる唇。 気づけば俺からその唇を塞いで、舌を差し込んでいた。 「……く……ぁ」 智紀さんに教えてもらったように、もちろん同じレベルでなんて無理だけど舌を絡め取って吸い上げてその粘膜を刺激する。 触れた互いの舌から発生する熱に頭の中がぐらぐらする。 熱くて、疼いて、足りなくて、俺は夢中になって智紀さんの咥内を犯していた。 「っ……ふ……、ち……ひろ」 唾液が口端からこぼれるのを感じていると息継ぎの合間に少し余裕を欠いた声が届いた。 「やば……、そろそろイキそう……っ」 くちゅくちゅと、水音が激しさを増している。 擦りあげる手の動き、その振動が触れた身体から伝わってくる。 「ね……イっていい?」 艶を含んだ眼差しが俺に甘く問いかける。 視界に映る快感に歪んだ表情と、切羽詰まったように動いている手。 俺はただ頷いた。 ふ、と智紀さんが笑う気配がする。 そして乱れた呼吸が耳を打つ。 「……っ、く……ッは……」 俺の肩に額を押し付け呻くと、智紀さんは身体を震わせた。 次の瞬間には熱い飛沫が俺の腹部や半身にかかってくる。 「……ン……っ」 全部出しつくすように手を動かし続け、俺の肌は白濁に濡らされた。 「……あー……気持ちよかった」 ため息混じりの声が響いて、ちーひろ、と耳朶を甘噛みされた。 「ちゃんと見てた?」 「……はい」 「そ。よかった。あー……汚したね。綺麗にしてあげる」 どうやったってこのひとに敵うはずなんてない。 ちょっとだけ俺が優位にたてるのかも、なんて思ったけどそんなわけない。 焦れた身体を笑うように智紀さんの指が悪戯に肌を這って、舌が同じように辿る。 俺の肌に飛び散った白濁を舐めとり、そして 「……ッ、んっ」 半身が咥内に含まれて、情けないほどあっけなく―――達してしまう。 どうやったって、敵わない。 堕ちてくだけ、だ。 END

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