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第12話

「っ……!」 腰が跳ね、声が出そうになって耐える。 いままで感じたことのない感覚にきつくシーツを握り締めた。 腰のあたりから生まれるじわじわとした疼くような浮くような刺激は擦られるたびにだんだん強さを増していく。 それが"気持ちいい"のだと気づいたとき、耳元で囁かれた。 「ココが千裕の前立腺。気持ちいい?」 意図的にかさっきまでよりも低い声は甘く響く。 その名称は聞いたことがあったけど、触れたことなどあるはずもない場所をひたすらに攻められて、返事なんてできなかった。 ただ答えが否じゃないというように身体がひどく熱く疼いて吐息をこぼした 信じられない、考えたこともなかった。 男だけの飲み会で、猥談の中で、いつだったか風俗の話がでたことがある。 そこで『前立腺マッサージ』という単語は聞いたことがあって、誰かがしてみたいと言い、それにたいして笑いが起きた。 そういうのもあるんだ、と俺は聞き流していた。 自分には関係ないこと。 そう―――思ってたのに。 「二本目、はいったの、わかる?」 ソコを探しだされてどれくらい経っただろう。 俺は情けないくらいに出そうになる高い声を必死で我慢していた。 だけど智紀さんは容赦なくソコを攻めてくる。 指の腹がソコを強弱をつけて押して、擦ってくる。 ぞくり、ぞくり、と腰から生まれた違和感はだんだんと快楽の形をとっていって、俺の身体を震わせる。 無意識に力が入ってしまうと背中に舌が這い、俺のモノが強めに扱かれた。 ローションに寄って卑猥な音を響かせてる後孔は、智紀さんが言ったように二本の指を咥えこんでいた。 増した圧迫感。 なのに、徐々にそれにも慣れていってしまう。 見つけられてしまった性感帯は、あっという間に智紀さんに慣らされていってしまってた。 「……ッン……ぅ」 送られる快感に脱力しそうになるけど、そうすれば波に飲み込まれてしまいそうで耐える。 でもそれももうギリギリだってことはわかってた。 「ちーくん。どう?」 背中に重みがのしかかり、後ろから耳朶を甘噛みされる。 「……は……ッ、く……」 それだけのことなのに、そこからも刺激が起きてしまう。 自分の身体なのに制御ができない。 「ちーひろ」 からかうような声。 ひたすらに俺を揺さぶりなぶる指。 イヤだ、怖い、と思うのに、なぜか抵抗ができないでいる。 シーツに顔をうずめて智紀さんに返事をしないでいるのが唯一のささやかすぎる抵抗だった。 「千裕ってば。なんか俺寂しくなってきたな」 耳元で低い囁きが響いて、それにさえ身体が震えそうになっていたら、不意に―――ずるり、と後孔から指が引き抜かれた。 「……っあ」 圧迫感から解放されたのに、喪失感に襲われる。 這いあがる疼きに眉を寄せていると、再び俺の身体はあおむけにされた。 生理的な涙の膜が張った俺の目に智紀さんが映る。 目が合うと、智紀さんは口角を上げた。 ずっと一緒にいたのに、俺が背を向けていたしばらくの間に息を飲むくらいに色欲に濡れた目がそこにあって息を飲む。 「そろそろ俺も限界だから、もう一回イってリラックスしようか」 もう一回? 問い返す前に智紀さんが顔を伏せて―――俺のものを咥内に含んだ。 「っあ、ん……っ」 強烈な刺激に思わず声をあげると、すかさず後孔にもまた指が挿ってきた。 先走りでどろどろに濡れた俺のものに熱く舌が絡められて、吸い上げられる。 後は当然のように前立腺を弄りながら、二本ではなく三本の指が押し広げるようにバラバラに動いてる。 「やめっ……、く……ッあ」 やめさせようと、智紀さんの頭に触れる。 けど力が入らずにその髪を掴むことしかできない。 一度目の吐精よりもあきらかに大きい波が襲ってきて怖い。 フェラだけならともかく後孔を弄られながら達するなんて、ありえない。 「ほんと……に……っ、やめ……ッ」 首を振りながら、情けなく涙が目の端からこぼれて―――きつく、つよく先端が吸い上げられた。 同時に前立腺も擦りあげられて―――。 「ッ、ん、あっ!!」 呆気なく俺は智紀さんの咥内に白濁を吐き出してしまった。 続けざまの二度の射精。 いままでの"彼女"やそうでない女と一度限りのそういう行為をしてきたことはあるけど、一度出してしまえばそれでよかった。 俺が好きなのは―――鈴だけだったから。 蓄積した性欲を解消すればただよかったんだ。 だからこうして二度も吐精して疲労感が激しくて一気にベッドに脱力してしまった。 息が乱れて倦怠感に襲われる。 「……っ」 存在を忘れていた後孔に挿入されてた指が引き抜かれて我に返る。 咥内に吐き出したはずの白濁。 でも智紀さんは平然としていて、ぺろり、と何もついてない舌を見せてきた。 「……ぁ、のっ」 飲んだんだろうか。 羞恥に頬が熱を帯びる。 「なに?」 「……」 俺が出したものをどうしたのか、飲んだんですか、なんて聞けない。 うろたえる俺に視線を合わせたまま智紀さんはベッドサイドのチェストの上から、なにかを取った。 それがゴムだということに、智紀さんが開封しているのを見て知る。 そしてそれを慣れた手つきで装着して、俺の脚の間にまた割り込む。 「最初はちょっと痛いかもしれないけど、だいじょーぶだよ」 にっこりと、笑顔が向けられる。 「智紀さん……俺……」 二度も俺だけイって、ここで逃げるなんて最低だろうか。 だけど指とは違う熱と硬さが後孔にあてがわれて、その太さを肌に感じてどうすればいいのかわからなくなる。 「やめる?」 そのままの体勢で智紀さんが訊いてきた。 「……」 「どーしても、いや?」 「……」 俺は―――どうすればいいんだろう。 いや、そもそもなんでここに来てしまったんだろう。 相手が男だってことはわかってて、流されているとわかっていてもここへ来たのは自分の意志だ。 「俺は……」 「千裕」 笑顔のまま。 だけどその目からは笑みが消えて俺を突き刺すように見つめた。 「嫌、と迷ってる、のは違うよ。迷ってるのなら―――俺が決める」 ともきさん。 と、呼ぶ声は、 「……ッ、くッ……ぁ」 引きつったものに変わった。 智紀さんがぐっと腰をつきだして、硬いものがギチギチと音を立てるように俺の後孔へと挿ってきた。 「千裕、力抜きな?」 圧倒的な圧迫感に息を飲みながら―――熱を孕んだ吐息をこぼし、浮かんだ智紀さんの妖艶な笑みに一瞬、見惚れてしまった。

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