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—— 身体と愛と涙味の……(14)
みっきーの祖父って人は、数々の事業を展開している、あの有名なSAKURAグループの会長らしい。
で、みっきーは桜川家の長男だからというだけで、そのまま後を継ぐのが嫌で、医者になると言えば、後を継げと言われなくなるだろうという安易な考えで、医学部を卒業して医師免許を取得したと、かいつまんで説明してくれた。
「なんで医者の仕事をしないの?」
「性格かなぁ、仕事に縛られるのが嫌なの。 我侭だよね。 一定の職業に就くのが向いてないって言うか、殆ど日本に居ないしね」
取り敢えず、形だけでも仕事しろって事で、あのビルを譲り受けて、自由にやっている。 と言う、みっきーの話は、あまりに自由過ぎて、羨ましいと言うよりも、周りにはいないタイプで、現実味が沸かない。
「まあでも、年取ったら、どこかの島とか、医者が居なくて困ってるような所に行って、余生を送るってのもいいかもだけどね」
まるでドラマのような事を言ってるけど、みっきーなら、その未来は本当に実現しそうな気もしてくる。
「ほら、だからお尻出して」
そう言いながら、シャツを捲って双丘を割り広げられて、忘れていた羞恥が蘇った。
「あー、切れたりはしてないけど、やっぱり腫れてるかな。 入り口と中に薬塗りましょうねー」
医者だと言われても、みっきーの口調は、どうしてもお医者さんごっこにしか聞こえない。
「この薬、ちゃんと肛門科でもらったやつだから、多分効くと思うよ」
だから、なんでその薬を常備しているの。 と思いながら、明るい場所で秘部を見られる羞恥に、おとなしく耐えてる俺って……。
「…… ん、くッ」
くるくると、入り口の周りに指を動かされた後に、つぷっと中に入れられて、痛みに思わず声を漏らしてしまう。
「はい、オッケー、解熱剤も入れておいたから熱も下がると思うよ。 ご飯食べたら少し眠りなさい」
「え、でも俺、もう帰らないと……」
「今日、何か予定でもあるの?」
予定は無いけど……。
「予定ないなら、ちょっと休んでから夕方にでも送るよ。 俺、今夜は店を開けるから、ついでに送るくらいさせてよ。 それまでに洗濯した服も乾くだろうしね」
「洗濯してくれたの?」
「うん、俺いいお嫁さんになると思わない?」
「なにそれ」
みっきーの軽い冗談に、思わず気が緩んで、ぷっと吹き出してしまう。 と、同時に思い出したように、お腹がキュルルルと音を立てた。
「お味噌汁、温めるから、早くこれ着てくださいね、アナタ♪」
今度は、新婚さんごっこかよ、と苦笑しながら、みっきーが出してくれた下着と肌触りの良いコットン素材のパンツを穿いて、ダイニングに向かった。
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