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第四章:想う心と○○な味の……(1)

 冬休みも終わったら、あっと言う間に後期試験が始まる。  レポートの提出期限も迫っていたので、あれから俺は結構真面目に学生していた。  気が付いたら透さんの事を考えてしまうから、今は勉強に集中できる環境がちょうど良いくらいだった。  試験が終わるまではバイトも減らしていたけど、金曜日は意識して入らせてもらっていた。もしかしたら……、透さんに会えるんじゃないかって…心の何処かで思っていたから。  でも……、って言うか、やっぱり透さんがカフェに現れる事はなくて。  会えたとしても、どんな顔していいのか話しかけていいものか分からなかったから、透さんが来なかった事に、少しホッとする自分もいたりしている。  逢いたいけど、会いたくない。  会うのが怖いけど、逢いたい……。  自分でもよく分からない気持ちを抱えたまま、日々は平常通り何もなかったように過ぎていく。  前と少し変わった事と言えば……、女の子に誘われても、断るようになった。  今まで遊び過ぎていた俺が、突然誘いに乗らなくなったからか、いつの頃からか『直には本命の彼女ができた』って噂まで流れていた。  啓太に、『誰だよ?!』って、何度もしつこく訊かれたけど、彼女なんていないって言ってるのに、なかなか信用してくれない。 「ま、まさか……ゆり先輩じゃないよね?」 「違うよっ! 絶対ないから!」 「ホントに?信じていい?」 「……?」  なんか……、啓太の言い方に、違和感……。 「啓太……、お前……ゆり先輩と何かあった?」 「えっ? いや? べ、別にないけど……、あ、えーと……うん、ゆり先輩と直って、なんか仲良かったじゃん? だからさ……」  なんか、心なしか顔を赤らめている啓太に、疑惑がどんどん大きくなる。 「啓太、ゆり先輩とヤッた?」 「……!!」  みるみる耳まで真っ赤になる嘘がつけない啓太に、俺は溜め息を吐いた。  こいつ……うちの姉貴を好きだった事と言い、ゆり先輩と言い……、もしかして押しの強い女が好きなのかな。 「んで? 付き合ってるんだ?」 「んー、あー、もう、バレちゃったらしょうがないよねー。えへへへへ」  何がえへへだ! 俺には、あんまり独り占めすんなとか、言ってたくせに。 「いつからだよ」 「ん、えーと、サークルの新年会の日……かな……」  なっ、なんと! 驚愕の事実…… ! 「あのさ、啓太」 「……ん?」 「……いや、その……」  絶対コイツ、ゆり先輩に振り回されてんだろうなーって、思うけど……満面の笑みで、いかにも幸せって書いてありそうな啓太の顔を見てたら……。 「……今、幸せですか?」  ……なんて訊いてしまっていた。 「まぁな~♪」 とか言いながら、鼻の下伸ばして顔中が緩んでるから、もう俺、何も言わずに影ながら応援する事に……する。  あと一つ、前と変わった事と言えば……。 「なーーーおっ! なーお!」  突然……と、言うか、まあ、いつもの事だから予想はしてた……けど、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてきて、(またか……)と、苦笑しながら、ちょっと大げさな溜め息を吐いた。 「……みっき……」  もう毎度の事で慣れたけど、ちゃっかり大学の門の所で待ち構えて、デカイ声で名前を呼ぶのはやめてくれ。  宣言通りみっきーは、こうして大学やバイト先まで迎えに来たりして、その度に愛の告白をしてくれる。

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