158 / 351
―― 想う心と○○な味の……(56)
「ッ、透さんっ、」
真っ赤になって抗議すれば、クスクスと愉しそうに笑いながら、宥めるように頭を撫でられた。
今のキスで、また身体の奥に火が点いちゃったんだけど!
「透さん、俺、キスしたい……」
上目遣いで、可愛くお強請りしてみたんだけど……。
だけど透さんは、「駄目だよ」って、言って、キスの代わりにまたクッキーシューを俺の顔の前に差し出して……。
「ほら、全部食べなきゃ」
って、首を傾げて、甘い声で言われたら、なんかもう逆らえなくなっちゃって。
また二人でクッキーシューにかぶりつく。
「―― むぅ…… ん」
そしてまたクリームがはみ出して、舐められて、キスをして……って、何度も繰り返して。
最後のひとくちを食べ終わったら、またキスをして。 その頃には俺はもう、とろとろに蕩けさせられていた。
「直くん、誕生日おめでとう」
って、鼻先がくっつくくらいの距離で、あの甘い声で囁いてくれる。
「…… ありがとう、透さん」
そして今度は、深く唇を重ねて、そのままベッドに縺れ合いながら倒れ込む。
夕飯食べてない事なんて、すっかり忘れて、朝方まで何度もお互いの熱を感じ合う。
二人でくたくたになるまで、幸せに酔い痴れて、疲れきって眠る。 隣に透さんの体温を感じながら……。
本当に好きと思える人と、出逢える奇跡。
それだけで幸せだと思ったけど、
―― でも、本当は……。
こうして、隣に愛しい人の体温を感じて眠ることができること。
二人で笑ったり、泣いたり、怒ったりしながら、毎年お互いの誕生日を祝ったり……、
ずっと一緒に過ごせることが、もっと、もっと、幸せだなって思う。
あの公園で、また出逢えて、よかった。
透さんに、想いを伝える事ができて、よかった。
透さんの想いを、伝えてもらえて、よかった。
朝、目が覚めたら、もう一度言うんだ。
あなたを想う気持ちは、この先も変わらないことを。
「透さんを、愛してる」―― って。
ともだちにシェアしよう!