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—— 君の初めては全部……(11)
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「—— そっか!!」
翌日、誰もいない部屋で独り、ソファーでゴロゴロしながら、さして興味もない情報番組が流れているテレビを眺めていたんだけど。 突然頭を過ぎった考えに思わず声をあげて身を起こした。
今日は日曜日で、俺は大学もバイトも休み。
本当なら透さんも仕事が休みで、一緒に過ごす予定だったんだけど、朝になって透さんに急な仕事の連絡が入ってしまった。
『ごめんね。 夕方には帰ってこれると思うけど……』
『いいよ、俺、留守番して待ってる』
と、言ったものの、日曜日ってテレビもつまんないし、透さんの部屋はいつも綺麗に片付いてるから、掃除も洗濯もすぐに終わってしまって、暇を持て余して、ボーッとしてたら、ついつい頭ん中は昨夜の事を思い出してしまってて……。
テーブルの上のリモコンに手を伸ばして、電源を切り、俺はソファーから立ち上がって壁の時計を見上げた。
「四時前か……」
透さんは夕方には帰ってくるって言ってたけど、何時頃だろう? でもきっと、五時は過ぎるだろうな…… って、思いながら、俺は寝室のドアを開けた。
「ちょっとだけ借りるね」
寝室の机の上に置いてあった、透さんのノートパソコンを開けて電源を入れる。
いつでも使っていいよって、言ってくれてたけど、でも、今から調べようとしている事を考えると、ちょっとだけ後ろめたかったりする。
検索ボックスに文字を入力してEnterキーを押す。 出てきた検索結果の上から安全そうなサイトを選んで……。
—— うわぁ……。
表示されたサイトの画像に目が釘付けになりながら、順番に閲覧していく。
「…… つまり……、こういう事なんだよな」
透さんは、俺の初めてをみっきーに先に盗られた事が悔しいって言ってたから……。
だから昨夜、目隠しプレイをしようと思い付いたんだと思う。
—— だから一緒に初めての経験いっぱいしようね。
うん、俺、透さんとなら、どんなプレイでも出来るような気がする。
ちょっとS入ってる時の透さんに、俺、ゾクゾクしたし……。
今、目の前の画面に並んでいるのは、そういうSMプレイなグッズの通販ページ。
「へえ、色んなのがあるけど……」
ボンデージとか、ソフトな感じならいいかな。 昨夜手首縛られただけで、なんとなく透さんが興奮してた気がするけど。
透さん、こんなちょっと変わったプレイ好きなんかな……。 そう言えば正月に逢った時、俺の女装見てちょっと嬉しそうだったし……。
—— っ! ちょっと思い出しただけで、反応するなよ俺の息子!
股間をズボンの上から押さえながら、更に画面を食い入るように読み進める。
え、でも値段高っ! バイト増やさないとダメじゃん。
う……、尿道責めグッズとか……、どうなのこれ……、い、痛そうじゃね? 本当に気持ちいいのかな。
11連ボール 初心者向け細めタイプかぁ……、うーん。 初心者用なら俺でもいけるかなぁ。 これなら俺にも買えそうだけど……。
あ、これグッズ使ってる動画あるじゃん……。
『—— あっ、あーっ、ん、っひぃ…… アーーッ!』
—— ぎゃーーっ! 音声デカっ!!
慌てて音声を調節した直後……
「…… 直くん、何、熱心に見てるの?」
背後から聞こえてきた声に、息が止まるくらいびっくりした。
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