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―― 幸せのいろどり(75)
駄目だと思っているのに、拒むことができなくて。 それどころか、もっと刺激が欲しいと思ってしまう。
光樹先輩が俺のベルトを緩めて前を寛がせるのをただ眺めて、情けないほど簡単に許してしまっている自分がいた。
もう今にも、爆ぜてしまいそうなくらいの猛りに、光樹先輩が指を絡ませて緩い刺激を与えられて、その焦れったさに無意識に自分から腰を動かしてしまう。
「ふふ、そんなに我慢できないの?」
光樹先輩のからかうような言葉も気にならないほど ―― 早く解放したい。 ただそれだけの思いに突き動かされていた。
「しょうがないね。 今ラクにしてあげるよ」
そう言って、光樹先輩が俺の股間に顔を埋める。
「―― ッ、先輩っ!」
俺は、なけなしの理性を掻き集めて、それを拒もうと光樹先輩の頭に手を伸ばした。
だけど、そんな抵抗も光樹先輩に敢え無くその手を掴まれて阻まれる。
「いいんじゃない? 我慢しなくても。 これは、ただ昂ぶってしまった熱を抜くだけの行為なんだから。 そうでしょ?」
「―― でも…… だからってこんな事……、あ……ッ」
俺が最後まで言い終わらないうちに、光樹先輩は俺の先走りに濡れた先端を舌で拭うように舐めながら、上目遣いに視線を送ってくる。
「大丈夫だって、男同士はノーカウントってことにすればいいだろ? 直には黙っててやる。 だから無かったことにすれば良いんだよ」
そう言って、俺の昂ぶった欲望を喉が当たるほど奥まで咥え込む。
男同士の関係を教えた張本人のくせに、今更ノーカウントとか、意味が分からない。
―― そう言えば、初めてのキスもノーカウントとか、ふざけた事を真顔で言ってたな。
そんな昔のことを思い出しながら、俺は目先の快楽に流されてしまう。
熱い舌を絡ませながら、激しく頭を上下されて、一気に吐精感が込み上げてくる。 蜜口に硬く尖らせた舌を挿し入れられてキツく吸い上げられて、腰をビクビクと震わせた。
「…… っ、くぅ……」
もうとっくに限界だった俺は、呆気ないほど早く、光樹先輩の咥内に熱い飛沫を放ってしまっていた ――
達した後の気だるさに、ベッドに身体を沈め目を閉じていると、光樹先輩が顔を近づけてくる。
―― キスするのか……。
そんなことを予想しながら、もう抵抗する気持ちも無くなっていた。
だけど、近くに光樹先輩の気配は感じるのに、何もしてこない事を不思議に思って閉じた瞼を開けると、思いのほか至近距離で切れ長の目と視線が絡んだ。
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