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―― 幸せのいろどり(epilogue2)
出逢ったあの頃より少し背も伸びて、可愛い顔立ちは相変わらずだけど、なんとなく男らしさも加わって時々ドキッとするような表情をする。
直くんは、少しずつ少しずつ、大人の男へと成長している。
でも、こうして眠ってる時は、まだあの頃の少年のようなあどけなさも残っていて……。
―― 出逢った時の直くんの表情を思い出すと、自然と口元が緩んでしまうな……。
直くんの身体の向こう側に片手を付いてそっと唇を重ねると、いきなり伸びてきた腕が俺の首に絡まり、ぐっと引き寄せられる。
「―― ん……、」
直くんの舌が、不意をつかれた俺の唇を割って、難なく挿ってくる。
それに応えるように、舌を絡め合わせてやわらかく吸い上げると、すぐに直くんの甘い掠れた声が漏れ始めた。
「ダメだよ、直くん。 早くシャワー浴びないと、時間なくな……、」
唇を離して、そこまで言いかけた俺の声は、また直くんの咥内へ飲み込まれてしまう。
後頭部に回した手で押さえられて、腰の辺りに直くんの足が絡みついてくる。
「シャワー浴びる前に、えっちしよ?」
漸く唇を離したと思えば、あの無敵の上目遣いでそんなお強請りをする。 そういうところは、昔から全然変わらない。
―― しょうがないな……。
そう心の中で呟きながら、俺は密かに時間の計算をする。
「とおるさん、何考えてんの?」
直くんはそう言うなり、俺の腰に絡めた足に力をぐっと入れて、難なく身体を反転させる。
身体の位置が入れ替わり、直くんが上から唇を押し付けて、激しいキスを仕掛けてきた。
口端から溢れて顎を伝い落ちる唾液を、直くんが舌で拭っていく。
肌に触れる舌の熱に、俺も熱くなってしまう。
舌を這わせながら、首筋へと下りようとする直くんの頬を包んで顔を上げさせて、目元からこめかみへと口づけて、耳殻を甘く噛んでやると、
「…… は…… ッ …… ぁ……」
また、直くんの唇から甘い声が漏れた。
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