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 ―― 聖夜と生クリーム味の……(4)

 あの瞳に見つめられたら……、どんな女の子も虜になるんだろうな。あの髪、きっとサラサラで指通りが良くて気持ち良いんだろうな。そして、あの指に触れられたりしたら……、想像しただけでドキドキする。  ―― え……?  いや……、ちょっと待て。俺、何で顔熱いの。と言うか……今、何想像したの、俺。  あの瞳に見つめられたら、どんな女の子も……ってのはそうだよね? あの髪は、指通りが良くて気持ち良いだろうな……ってのも、べ、別におかしくないよ。  だけどっ!  あの指が……何に触れるのを想像した? 俺! それで、このドキドキは、何だ? そして顔が熱いんだけど、なんで?  「……」  混乱したまま柱の影から一歩出で、二人のテーブルの方に視線を向けると……。  「うわっ……」  思わず小さく声を漏らしてしまった。何故か、彼がこちらを見ていて……、  ―― 目が合った!  俺は焦って、すぐに柱の影に隠れたけど、さっきよりもどんどん顔が熱くなってしまう。  ―― なんだこれ? なんだこれ?  心臓が壊れそうなくらい、ドキドキしてる。  別に男が好きというわけじゃなくて、もちろん恋愛は、女の子としか興味はない筈…… だけど……。  ―― だけど……じゃなくって!  そうだ違う、断じて違う。そんなわけないだろう? あの人は男なんだから。  そう、あれだ……、これはきっと憧れってやつ。自分よりはるかに大人の男の魅力っての?自分には全くないもの……。そういうのに、憧れる年頃なんじゃね?俺って。  俺もさ、社会人とかになる頃には、あの人みたいにカッコいい大人になりたいんだ。うん、そうだそうに違いない。  今は、『可愛い』とか言われて、それなりにモテたりもしてるけど、きっとあの人と同じくらいの歳になったら、こう、男の色気とかも出たりしてさ……。  だから……、だからさ、さっきの変な想像は、なし!なし!ちょっとした間違い。落ち着け、落ち着け、俺。  何度も何度も、そう自分に言い聞かせても、暫くは胸の鼓動が治まらなくて……。 「何してるんだ、サボってないで仕事しろ」  と、またフロアマネージャーに突っつかれてしまったのは、言うまでもない。