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 ―― 聖夜と生クリーム味の……(11)

「じゃ、行こうか?」  透さんは、俺の背中をポンっと軽く叩いて、公園の入り口近くに駐車してあった車に乗るように促した。  初めて話した人の家に、本当に行っちゃってもいいのかな…… と、一瞬頭を過って躊躇したけれど。 「遠慮しなくていいよ」  微笑みながら優しい声音で言われてしまうと、そんな迷いもどこかに消え去ってしまっていた。  **  透さんの住むマンションまで、車で20分程度で着いた。  エレベーターを12階で降りて、通路の一番東の角部屋が透さんの家。 「どうぞ」 「お邪魔します」  あまり物を置いていない、シンプルで清潔な感じの玄関で靴を脱ぎ、廊下の突き当たりのドアを開けると広いリビングダイニング。  全体的に茶系でまとめられた、落ち着きのある大人の感じな色使いの部屋。  男の一人暮らしにしては、綺麗に片付いていた。 掃除や片付けが苦手な俺と大違いだ。  興味津々で部屋の中を見回していると、サイドボードの上に写真立てがあるのを発見……。  ―― あ……。  それは、あの彼女と腕を組んでる写真だった。  ―― …… まだ忘れるには、時間がかかるって事なのかな。 「そういえば、直くん夕飯は食べたの?」  写真に気を取られていると、透さんがキッチンから声をかけてきた。  ―― あ……、そういや食べてなかった。  食べていなかった事を思い出すと、急に空腹でお腹が鳴り出しそうな気がして、鳴らないように願いながら、両手でお腹を押さえた俺を見て、透さんは、にこにこしている。 「…… そういえば、食べてなかったです」 「じゃあお腹空いたでしょ?俺は軽く食べてたんだけど。ケーキ食べる前に何か食べる?簡単なものしか出来ないけど」  ―― ええ?透さんの手料理?! 俺のために? 「え、いいんですか?」  そんな、いきなりご馳走になるなんて、俺、図々しいんじゃないかって、心配してしまうんだけど。 「大丈夫だよ、俺もちょっと食べたいし…… ね?」  透さんも食べたいなんて、俺が遠慮しないように、気遣ってくれてるんだって分かってるんだけど、優しい声でそう言われてしまうと、つい甘えてしまう。 「じゃぁ、遠慮なくいただきます」 「出来上がるまで、テレビでも見てたらいいよ」  そう言われたけど、何か手伝った方が……と、カウンターの前で透さんが手際よく料理する姿を眺めていた。  慣れた手付きでパスタを鍋に入れる。 野菜を切る包丁さばきもプロみたいで、その姿が、またカッコよくて見惚れてしまっていた。 「そんなに見つめたら、緊張するよ」 「すっ、すみません!透さんがあまりにも手際よく料理してるから、見惚れちゃって」  俺も、時々厨房を手伝ったりするけど、まだ慣れなくてウロウロしちゃって、「邪魔っ」とか言われちゃうんだよね。 「でも味は保障しないよ」  少し頬を赤くして照れたように笑う顔が、いつものカッコ良さとはまた違い、年上なのに可愛くて、つい自分の顔が緩んでるのに気が付いて、俺まで顔が熱くなった。
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