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不良レイプ1

 「はぁ……クソだりぃ……」 溜め息を吐き、憂鬱な気分でドアノブに手をかける。 俺が今立っているのは、生徒指導室の扉の前だ。 面倒な事に教師から呼び出しをくらってしまった。 普段なら無視をしてとっとと帰るのだが、今日はそうも行かなかった。 何故なら今日は服装がどうのだとか、そういうくだらない話ではなくて、単位の話だからだ。 なんでも俺は数学の出席日数が足りないらしく、このままでは留年せざるを得ない事になるのだとか。  留年なんて事になったら、不良仲間にバカにされる事間違いなしだ。 他校の奴らにまで噂が広がって、それで俺は恥をかく。 「クソッ……!」 ──そんな事になってたまるか。 俺は意を決して、生徒指導室の扉を開いた。  室内には細身の男が一人。 俺を呼びだした教師ではなかった。 「真中宗次郎、だな」 「テメーは……」 低く澄んだ声で俺の名を呼ぶコイツを、俺は知っていた。 絵に描いたような優等生の、風紀委員長。 女子が「格好いい」だの「素敵」だのと噂しているのを、何度も聞いた事がある。 偏差値が低くギャルとヤンキーばかりのうちの学校では、真面目なコイツはとにかく浮いている。 そんなわけで、うちの学校では、コイツはちょっとした有名人だった。 「風紀委員の……」 「久本寺唯だ」  風紀委員長は『久本寺 唯』と名乗った。 名字は知っていたが、下の名前を聞いたのは初めてだった。 女みたいな名前だと、そう思った。  「で、先公は?俺、呼び出しくらってんだけどよ」 室内をいくら見渡しても、この風紀委員長以外の人間は見当たらない。 「先生なら来ないぞ」 「あ?なんでだよ」 「真中宗次郎、お前を呼んだのはこの俺だ」 「……はぁ?」 久本寺の口から予想だにしなかった言葉が発せられる。 言葉の意味を理解するのに、少々時間がかかった。  「ハッ……風紀委員長サマが直々にお説教か?」 「……取り引きだ」 「…………は?」 またもや意外な言葉が自身に投げ掛けられて、戸惑いを隠せなくなる。 コイツは一体、何を言っているんだ。 「単位が足りないという話は聞いているだろう?」 「あ、ああ……」 「単位は俺がなんとかしてやる」 「はあ?」 「その代わり、俺の犬になれ、真中」 「……!?」 それは、今までで一番、耳を疑う言葉だった。 目の前に居るこの男が、何を考えているのか全く分からない。 「……なんだテメェ、ふざけてんのか」 久本寺の事は、見た目のイメージ的にもっと真面目でお硬い奴なのだと思っていた。 突然この俺に向かって『犬』だとか言いやがるとは大した度胸を持っているじゃないか。 若しくは、この男は頭がおかしいのか……  これはちょっとした自慢だが、俺は喧嘩じゃ負け知らずだ。 この辺りの学校のヤンキー達の間ではかなりの有名人だし、自分がこの学校のボスであると言っても過言ではない筈だ。 それくらい、俺は強い。 それが単なる自惚れではない自信がある。 そんな俺に向かって『犬になれ』だと……?  「悪い話じゃないだろう?どうだ、この取り引き……」 「バッカじゃねーの?俺は誰にも従わねぇ!」 久本寺に向かって睨みを利かせ、怒鳴り付ける。 「何が犬だ!バカにしてんじゃねーぞ!」 「…………交渉決裂か」 「何が交渉だ!」 この俺が怒鳴っても、久本寺は怯む事はなかった。 それどころか余裕のある笑みを浮かべていて、それはどこか薄気味悪さすら感じさせる。 「まあいい。それなら力づくで従わせるだけだ」 「あ゛ぁ?テメェみたいなおぼっちゃんに何が出来るってんだ!?」 「本当に躾がなってないな。まずは『お手』と『おすわり』から教えてやろう」 「…………ッ、テメェ、いい加減にしろよ! 俺を誰だと思ってやがる!?」 「躾のなってない犬、だと思っている。犬種はチワワかポメラニアンといったところか……」 「誰がチワワだゴラァ!!」 馬鹿にしたような態度の久本寺に心底腹が立ち、俺は拳を振り上げる。 「歯ァ、食いしばれ!!」  ──腕っ節には自信があった。 俺は『喧嘩が強い』 それだけが取り柄だった。 それだけが誇りだった。 「…………っ」 背中を上履きで強く踏まれる。 灰を圧迫され、息が苦しい。 「クソが……ッ」 逃げ出したくても、腕を縛られていて身動きが取れない。 必死に腕を動かしてみても、ぎちぎちと微かな音がするだけで、解ける気配は全くなかった。 手首が縄に擦れて痛い。 「……真中宗次郎」 久本寺は俺の背中を踏みつけながら、低い声で呟く。 「今、どんな気分だ」 「……ッ……」 ──俺は、負けた。 コイツ──久本寺 唯に。  完全に油断していた。 こんな奴に負けるなんて、今でも信じられない。 だけど、不意を突かれたわけでもなければ、複数人を相手にしたわけでもない。 一対一で、真正面からぶつかって行って、それで負けた。 俺は、コイツに、負けたんだ。 油断していたのは本当だが、それはただの言いわけでしかない。 例え、久本寺が喧嘩が強い事を知っていて、その上で勝負したとしても勝てたかどうか怪しいところだ。 それくらい、久本寺は強かった。 俺が知っている誰よりも、圧倒的に強かった。 「どうだ?従う気になったか?」 「ウルセェ、なるわけねーだろ……」 「強情だな。ますます服従させたくなる」 「…………っ!?」  足が背中から降ろされたと思えば、今度は手が俺の身体に伸びて来る。 華奢な腕だった。 この細腕に、俺を負かす程の力があるとは到底思えない。 「はっ……!?て、テメェ、何しやがる!?」 久本寺の細い腕は、俺のベルトに伸ばされた。 カチャカチャと音をたてて、ベルトが外されていく。 「やめろ!離せ!!」 「暴れるな」 「ぐ……ッ」 身体を凄い力で押さえつけられ、あっという間にベルトが外される。 そのままズボンと下着も一気に降ろされて、下半身が露わになった。 「な、な、な、なんのつもりだよ……!?」 尻だけ高くあげた四つん這いのような格好を取らされて、羞恥心が込み上げてくる。 「ひっ」 久本寺が指の腹で、曝け出されたソコに触れる。 今まで誰にも触られた事のない部分に触れられて、背筋がぞくりとした。 「処女か?」 「あ、あた、当たり前だろ……っ!あ゛っ!?」 久本寺の細い指が、女のように濡れる事のない穴へずぶりと差し込まれる。 「うあっ、ま、マジかよ……ッ!?」 抵抗する事も忘れ、微かな痛みと異物感に、歯を食いしばって耐えた。 久本寺の指は遠慮なく肉の壁を押し広げ、どんどんと俺の腸内へ侵入してくる。 「あ゛……クソッ、い、いってぇ……」 肉を割って俺の腸内へ入ってくる久本寺の、細く長い指。 痛くて気持ち悪くて、頭が変になりそうだった。 「うっ、ぐぅっ……」 「む……血が出てしまったな」 血が太ももを伝う感覚があった。 今自分が犯されている部分は、本来排泄に使う場所であり、何かを入れる穴ではないのだ。 そんな場所に無理矢理指を入れられては、裂けて当然だ。 「でも大丈夫だ。じきに良くなる」 「なってたまるか!……っあ!?」  久本寺の指がとある一点を突いた時、俺の身体に電流のような刺激が走った。 「あっ、あっ……!嘘、だろ……!?」 その刺激は、間違いなく『性的快感』だった。 「んっ」 「…………」 俺が声をあげると、何かを察したのか久本寺は指の腹や爪でソコを執拗に刺激してくる。 その度に口から吐息と声が漏れ、自分の意思に反して身体がビクビクと跳ねた。 「はっ……くっ……」 「気持ちいいのか?」 「バ、バカか!?んなワケ、ねぇ、だろッ……!!」 「初めてのアナルで感じる事ができるなんて、お前才能あるぞ」 「何の才能だよ!あっ、んっ、はぁッ……っ」  恐らく前立腺と呼ばれるであろう場所を見つけられて、好き勝手に弄くり回されて、頭がおかしくなりそうだった。 萎えていた筈のペニスもいつの間にか勃起して、先走りを垂れ流していた。 先端からだらしなく溢れたとろとろの汁が、生徒指導室の床を濡らしている。  ──恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。 こんな屈辱は初めてだ。 「も、辞めろ……辞めてくれ……っ」 「辞めていいのか?ちゃんと慣らさなければ痛いのはお前だぞ」 「気持ちいいよりはマシだ……」 「…………ふふ、案外素直だな」 「あっ……!」 腸内を掻き回していた指が、ずるりと引き抜かれる。 それすらも刺激となって、快感を拾ってしまう自分の身体が嫌だった。 まさか自分が尻の穴で、こんなに感じるとは思っていなかった。  しかもこんな状況で、学校で、今日初めて話した男の指で……それで感じてしまうなんて。 こんなのまるで、俺が変態みたいじゃないか。 「うあ゛っ!?」 尻の穴にぴたりと、久本寺の陰茎が宛がわられる。 久本寺のペニスは触ってもないのに、がちがちに勃起していた。 「お、俺相手で勃起するとか、頭おかしいんじゃねぇの……?」 「お前みたいなデカイ男を組み敷いて、雌にしてやるのが好きなんだ。お前がこれから俺の物になるのだと思ったら興奮してしまった」 「へ、変態が……っ、んああっ!」  男のモノが、肉を裂き一気に挿入される。 今まで感じた事のない妙な圧迫感と痛みが、俺を襲う。 「ふふ……やはり処女はいいな」 「あ、クソッ……いってぇ!!」 嫌な筈なのに、俺のアナルは久本寺のペニスを奥へ奥へと誘うように収縮を繰り返していた。 その収縮に合わせて、ずぶずぶと久本寺のペニスが侵入してくる。 俺の血がローション代わりとなって、熱く太い男根が意図も簡単に根本まで入ってしまう。 「はぁっ、は、うっ……くっ」 苦しくて、息ができない。 だけど、性的快感に支配されるよりはずっとずっとマシだった。 指で前立腺を刺激された時、自分でも知らない何かを暴かれたようで、怖かった。恥ずかしかった。屈辱だった。 幸い、喧嘩で痛みには慣れている。 これくらいの痛みなら、余裕で耐える事ができる。 快楽に溺れそうになるよりは、痛いほうがずっといい。 「く……」 「…………っ」 久本寺がゆっくりと腰を揺らし始める。 どくどくと脈打つソレを腸内で直に感じて、身体が熱くなるのが分かった。 「あっ……あっ、あっ、ダメだ、俺っ……!」  また気持ちよく、なってしまいそうだ。 身体が熱くて仕方ない。 ペニスの脈を感じる度に、尻の奥が自分の意思に反してぎゅうぎゅうと締まる。 「んっ……んぐっ……うっ……」 ペニスをギリギリまで引き抜いて、そこからまた一気に突き差す。 久本寺はそれを繰り返した。 「はっ、ん、あ、うあっ」 がっちり腰を掴まれ、腰を打ちつけられる。 室内にはぐちゅぐちゅとイヤらしい音が響いている。 次第に感じていた痛みと苦痛が、とろけるような快感に変わって行った。 「あっ、あっ、ん、あっ……はっ、ハアッ」 「随分と良さそう、だなッ……ハハ、処女の癖にっ」 「ん、あ、あぁっ!」  頭と身体が同時に、未知の感覚に支配される。 自分が自分でなくなるような感覚。 気持ちいい。気持ちいい。 もっとシて欲しい。 もっと、もっと、激しく、俺を犯して欲しい。 心のどこかで、そう思ってしまう自分が嫌だった。  「あっ、ああっ……!」 硬いペニスで尻の奥をガンガン突かれ、無意識に女のような声が漏れる。 結合部にピリリと走る微かな痛みですら、今はもう興奮材料でしかない。 「ん、はぁっはっ……あっ」 こんなのは、いつもの『俺』ではない。 本来の俺は、こんな風に女みたいな声で喘いだりしない。 抵抗できずに大人しく犯されるしかないなんて、こんなのは嘘だ。夢だ。 今の自分は、自分じゃないんだ……。  「…………っ」 行為が終わり、俺はようやく解放された。 窓の外から見える景色は、いつの間にか夕やけに染まっていた。 久本寺は行為が終わると、ぐったりと横たわる俺を放置してすぐに帰ってしまった。 俺はそんな久本寺に怒りを感じる余裕もない程に、疲れ果てていた。  「う……」 腸内に出された精液は、当然の如くまだソコに残っている。 血と混じり合って薄いピンク色となった精液が、俺の太ももを伝う。 尻からソレを掻き出す元気も術もなく、仕方なくそのまま下着とズボンを履いたが、尻がぐちゃぐちゃして気持ちが悪い。 「俺も、帰ろう……」 帰って、風呂に入って、すぐに寝てしまおう。 そうすればきっと、全て忘れられる。 自分を支配した未知なる快感の事も、久本寺の事も。 全て忘れよう。 そうすれば明日にはきっと、いつも通りの『俺』に戻れる筈だ。 そう信じて、俺は生徒指導室を後にした。

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