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第0話 プロローグ

 朝起きて、顔を洗った後に最初にする事は……。 「はるとー、朝だぞー。起きろー」 「ん〜……あと十分……」  愛する一人息子を起こす事。 「そう言って、昨日も大成(タイセイ)を待たせたろ? そのうち愛想尽かすされるぞ」  清十郎(セイジュウロウ)はそう言って、はるとの部屋のカーテンを勢い良く開けた。  それでもベッドから出ようとしないはると。---恋人の名前を言っても駄目なようだ。 「大丈夫……大成は僕にメロメロだからぁ〜」  でも、そう言ってはいるが、ムクッと起きだすはるとだった。  やはり、恋人には嫌われたくないようだ。 「……パパがそんな事言うから目覚めちゃった」 「なら、早く顔洗って来い。朝ごはんの用意しとくから」 「はーい」  素直に返事をするはると。  強面の清十郎とは全く似ていない幼い容姿をしたはるとは、先月で二十歳になったばかり。  もう年齢では子供の年ではないのだけれど、そんな素直な返事をされると未だにきゅんっと来てしまう。 「さて。飯作るか」  清十郎はそう言って自身の部屋に戻り、着替えてキッチンへと向かった。  

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