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向かいあう 2
「敦でいいよ」
良いよと言われても困る。
「なんだか、しっくりこないんです。まだ」
「三田さんってのは俺がしっくりこないな」
「そうですか?」
「なんかさ~上司があえてサンづけて呼んでますな感じがするな」
沢田、そう呼ばれていた…。ずっとサワダと呼ばれていた。身体の芯に何かが灯りそうになって押しだす。
三田さんの顔をみたら、探るような顔をして僕を見ていた
「郁はサンづけじゃなかったんだ」
ごめんトイレといって三田さんは席を立った
僕は、あの人を匂わせることは何も言わなかったはずだ
沢田と呼ばれる声を思い出してしまったから?
その時僕はどんな顔をした?
わからない…
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