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第1話

 経営しているバーの定休日を利用してパチンコ店へ出張していた吉良は、戦利品の一部である煙草を2カートンを抱え、夜道を上機嫌で歩いていた。  狙っていた台が思いのほか玉を放出してくれたおかげで、少々財布が潤った。  晩飯はうな重でも食べようかと考えていると、店の裏口へと続く路地に大きな影が横たわっているのに気付き、足を止める。  酔っ払いか浮浪者の類かと確認の為近寄り、影の正体を黙認した吉良は顔を顰めた。  全身黒ずくめ。明らかな過剰暴力を受けた痕跡のある若い男。  死体ならいいが、厄介な事に生きている。 「面倒臭ぇな、おい」  吉良はぼさぼさの頭を掻くと、手に持っていた煙草を物陰に置き、男を担ぎ上げた。

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